12月 14日(月)王服茶

2015-12-14 UP

12月 14日(月)王服茶
ご機嫌よろしゅうございます。

12月13日は事始め
いよいよ新しい年を迎える準備を
始める時期となりました。
かつて京都の空也堂では、
事始めから大晦日まで、
僧が手製の茶筅を売り歩く風習がありました。

この茶筅でお茶を点てると無病息災の
御利益があるといわれ、お正月に頂くのが
慣わしでした。

村上天皇の時代、都に疫病が流行しました。
空也上人は観音菩薩に疫病調伏を祈願し、
茶筅で点てた茶を供えて民衆に分け与えました。
この空也上人については11月16日にご紹介しました。
茶を服した者はたちまち平癒したといいます。
これを知った天皇が、正月三ヶ日に茶を
召し上がるようになったそうです。
その風習は「王服茶」と呼ばれ、
この故事に因み、空也堂の僧侶は師走になると、
正月の王服茶を点てるための茶筅を売り歩いたのでした。

11月 16日(月)空也と茶筅

2015-11-16 UP

11月 16日(月)空也と茶筅

ご機嫌よろしゅうございます。

三日前の11月13日は空也忌でした。
空也上人は平安時代、諸国を遍歴して踊りながら
念仏を唱えることで庶民に念仏を勧めました。
「寺を出る日を命日とせよ」と遺言したため、
寺を出たこの日が命日になっています。

さてこの空也上人は、当時流行した疫病を
退散させるおまじないとして柳の木を削り
削り花をつくりました。
これが茶筅の原型と言われています。
そして京都の空也堂の僧が、
青竹茶筅を作り、竹の竿にその茶筅を
藁にさしたものをつけて肩に担いで売り歩く
「茶筅売り」という年末の風物がありました。
この茶筅で正月にお茶を点てていただくのが
「大福茶」とよばれるもので、無病息災の
御利益があるといわれました。
この大福茶についてはまた来月ご紹介します。

7月 15日 (水)遠州流茶道の点法

2015-7-15 UP

7月 15日 (水)遠州流茶道の点法
「宗実家元好茶箱」

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は先週に引き続き茶箱についてご紹介します。

宗実家元が好まれた茶箱「青海茶箱」

青海は、どこまでも広がる大海原に絶えず繰り返される
穏やかな波を青海波と呼ぶことに因み、この茶箱を手にして、いつでも、
どこでも、お茶を一服頂けるように、
「茶の湯を通して心を豊かに」という宗実家元のモットーを表現した銘名です。

正面縁が爪紅になっており、深い緑に紅がよく映えます。
蓋には立礼・天籟と同様、ENSHUの字を
デザインしています。
正面から茶碗・茶筅・茶巾等全ての道具が引き出せる
仕組みになっています。
【告知】

遠州流の茶筅

2014-11-28 UP

11月 28日 遠州流の茶筅

ご機嫌よろしゅうございます。

一昨日遠州流の柄杓のお話しを致しました。
今日は茶筅のお話しを。

ほとんどのお道具は、季節が変わると、
それに合わせて大振りのもの小ぶりのものに
改めますが、茶筅は大きさを変える必要なく
通年使える茶道具です。

そして他の道具のような華やかさはありませんが
代用のきかない、重要な茶道具です。
煤竹・白竹など茶人や流儀の好みによって、様々な
色合いや穂先の形の茶筅があります。

遠州流の茶筅は白竹を使い、穂先の根元をかがる黒い糸の
結び目を見ると穂の内側で結ばれているのがわかります。
これは大変難しい技術ですが大きな特徴となっています。
ほとんどのお流儀ではこの結び目が表にでているので
遠州流の茶筅との見分け方はここをみれば
すぐわかります。

遠州公を流祖とする大名茶ならではの
手がこんだ茶筅です。