11月 11日(金)能と茶の湯
「筒井筒」
ご機嫌よろしゅうございます。
先週は能「井筒」をご紹介しました。
今日は高麗茶碗の中でも第一の格を持つ
井戸茶碗の中でも昔より特に声価の高い名物手井戸
「筒井筒」(重文)の茶碗をご紹介します。
「筒井筒」の銘は、もと筒井順慶が所持し、
茶碗が深めで高台が高いところから「筒井の筒茶碗」
といわれたと伝えられています。
筒井筒は順慶が秀吉に献上し秘蔵されていました。
しかしある日の茶会で近侍の小姓が誤って取り落とし、
5つに割ってしまいます。
激怒した秀吉が小姓を手打にしようとしたところ、
茶会に招かれていた細川幽斎が、
筒井筒五つにわれし井戸茶碗
とがをばわれに負ひにけらしな
と詠んだことで、秀吉の機嫌もたちまち直り
小姓は一命を取り留めた逸話が残っています。
細川幽斎は古今伝授を受けた歌道の大家で、茶の湯
や能にも非常によく通じた武将でした。
ちなみに秀吉も大変能を愛したことは以前にも
ご紹介しましたが、秀吉四十七番の所演の記録のうち
この「井筒」を三番舞っています。
6月 10日 (金)能と茶の湯
「羽衣」
ご機嫌よろしゅうございます。
先週は「羽衣」のあらすじをご紹介しました。
今日は「羽衣」を銘にもつ志野茶碗をご紹介します。
志野の名碗「羽衣」は
正面に見える強い焦げがあり、
見る者全ての目をひきつけます。
高台は荒々しく、暴れていて特徴的です。
今に伝わる志野茶碗の中でも特に印象的で力強い茶碗です。
志野は桃山時代を代表する美濃焼の一つです。
艾土(もぐさつち)と呼ばれる白い土に長石釉(志野釉)
を厚めにかけて作られます。
釉の下に鬼板と呼ばれる顔料で文様を描き焼成すると
条件によって黒や赤、鼠色、褐色に変化します。
内側に一筆ふわっと引かれた線があり、これを
天に舞う天女の羽衣に見立てられたことからの
銘とされています。
9月 23日(水) 遠州流茶道の点法
「天目 その2」
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は先週に引き続き、天目についてのお話を。
天目茶碗には、覆輪(ふくりん)の付いたものと
ついていないものがあります。
覆輪とは茶碗の口縁部を補強するために覆う
細い金属製の輪です。この覆輪のあるなしで
茶碗の清め方の扱いも少し変わります。
天目茶碗を天目台にのせて使用し、茶巾は
両辺裁ち切りのものを真にたたみ、
天目用の茶筅を使用します。
また茶杓は牙(げ)の真の茶杓を使用します。
また遠州流茶道では通常お茶の量にあった湯を
一度で入れて点てますが、台天目の場合は貴人に
対するご祝儀の意味で、茶を十分練った後
少し湯を加えます。(加え柄杓)
また亭主は挨拶する際に、通常点法座のまま挨拶しますが、
台天目では一膝貴人の方へ向いて挨拶をします。
そして袋天目点法とは、名物裂などの仕服が
ついている天目茶碗を、その仕服に納めて
天目台にのせて、濃茶を点てる点法です。
相伴のいる場合は別の茶碗で点てます。
この相伴付の点法についてはまた改めてご紹介します。
9月21日 如水茶訓
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は日曜日。
軍師官兵衛の時代のお話を。
隠居して如水と名乗った官兵衛ですが、
秀吉の死後となる慶長四年(1599)の正月
茶の湯定書というものを発布しています。
一 茶を挽くときには、いかにも静かに廻し、
油断なく滞らぬように挽くべきこと
一 茶碗以下の茶道具には、
垢がつかないように度々洗っておくこと
一 釜の湯を一柄杓汲み取ったならば、
また水を一柄杓差し加えておくこと
決して使い捨てや飲み捨てにしてはならない
これらは利休流を守った教えであると記しています。
素朴で、華美なところは感じられず、
簡単なことのようでなかなか実践できない
そんな日常の心のあり方を、
如水は定書に記したのでした。
8月14日「徹底解剖 茶道テディベア4」 ご機嫌よろしゅうございます。
茶道テディベアの魅力のご紹介も。
4回目を迎えることができました。
第4回は、いよいよ、『茶道テディベア』固有の魅力について、ご紹介したいと思います。
全長:22センチメートル(子猫ちゃんくらいのかわいい大きさです。)
素材:シルク/ポリエステル/コットン(シルクの入った素材はシュタイフ社でも珍しい!)
瞳はツヤツヤの真ん丸。
大切に手に持ったお茶碗とチラリとのぞく帛紗が茶道の象徴です。
ピンクの振袖のお柄は小堀遠州公より430年続く遠州流茶道の家紋、
七宝花菱文。 七宝紋は輪違い紋ともいわれ、無限に連鎖する平和や円満を意味する 輪の交叉から成る文様のため、「世界中の財宝」と「無限の子孫繁栄」を 表す吉祥文様(とても縁起の良いおめでたい文様)として好まれて参りました。 とてもかわいいテディベアでございます。
詳細は、下記URLでご覧くださいませ。楽しみにお待ちいたしております。
http://enshuryu.sakura.ne.jp/shop/html/products/detail.php?product_id=6
専用ダイヤル 03-6228-1208
5月12日 卯の花墻
ご機嫌よろしゅうございます。
爽やかな初夏に白い卯の花が美しく咲き
新緑にうつるその白さは、私たちの目に眩しく映ります。
卯の花は空木(うつぎ)の別名です。
今日はそんな卯の花を銘にもつ
茶碗をご紹介します。
日本で焼かれた茶碗で国宝に指定されているのは、
二碗のみで、そのうちの一つがこの「卯の花墻」です。
(もう一碗は本阿弥光悦作・銘「不二山」
室町三井家から寄贈され、現在東京の三井記念美術館に
所蔵されています。
16世紀後半、桃山時代に作られた志野茶碗です。
志野とは、美濃(現在の岐阜県)の窯で焼かれ
桃山時代を代表する窯場のひとつで、
織部焼もここで作られています。
少し歪んだなりをしていて、篦削りも大胆なこの茶碗は
織部好みに通じる作行きです。
夏に白い花を咲かせる卯の花の垣根に
似ていることからこの銘がつけられました。
遠州公の後、徳川将軍の茶道師範となった
片桐石州による銘とされています。
4月25日 前押(まえおせ)
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は遠州公の好みの形である前押について
お話ししたいと思います。
茶碗や水指などの道具に見られる意匠です。
正面に手で押したわずかなへこみを作り
アクセントとしています。ここが正面ですよと
お客様にわかっていただけるように
との心配りからついています。
遠州流では濃茶の後、数名のお客様に次々と
薄茶を点てる場合に重ね茶碗というものを使用します。
同じ出生(窯)のもので、天目型の成りに
正面をわずかにへこませた前押の形
のものを大小重ねて使用する茶碗です。
遠州公は当初三島茶碗などの平茶碗をお客様の人数分重ねて
点法したようですが、
それを国焼きに改めて考案しました。
切形(きりがた)と呼ばれる型紙をもとに
遠州公の作為による前押茶碗を、八世宗中公が作らせた
高取の重ね茶碗も今に伝わっています。
この重茶碗というお点法は、
遠州流特有のお点法です。
1月15日 好みの茶碗
ご機嫌よろしゅうございます。
本日は東京における点初め最終日です。
お腹も満たされ、いよいよ最後は薄茶へ。
毎年お家元が好まれお作りになられた茶碗が薄茶席で使われます。
薄茶席では例年、主茶碗の他、ご先代の代から好まれた(デザインされた)干支の茶碗が使われています。
「こちらが12年前、24年前、36年前の干支のお茶碗で…」
と浅井先生から説明を受けると
皆様それぞれに茶碗を手どって
楽しそうにお話をはずませていらっしゃいます。
今年の茶碗は
色絵 手綱・七宝つなぎ文様 矢口永寿作
です。
口つくりは仁清の様にやわらかく山路風に作られ
干支にちなみ、胴の上の部分には色絵で馬の手綱が描かれ下部には、遠州流らしい七宝紋をめぐらせたデザインです。
馬を描いた道具はしばしば目にしますが、馬を連想させるモチーフが描かれたものは
なかなかありませんので、印象的です。
薄茶席にて是非手取りましてご覧ください。
【告知】 文化放送「オトナカレッジ」
本日15日20:00~ 文化放送「オトナカレッジ」に映画のナレーションを務めている
次女の優子様が生出演されます。