1月 8日 (金)茶の湯と伝統芸能

2016-1-8 UP

1月 8日 (金)茶の湯と伝統芸能

ご機嫌よろしゅうございます。
先日6日は二十四節気の小寒にあたりました。
この小寒から節分までが「寒の内」と
呼ばれ、厳しい寒さの始まりです。

さて、本年から能・狂言について
毎週金曜日にご紹介する予定でおりますが、
茶の湯と能、花などの芸能は同時代に
昇華された芸能と考えられています。
遠州公も茶道具の銘に和歌を用いた歌銘を
つけたことはよく知られていますが、
和歌だけでなく、能や狂言からも銘を
つけている道具が多くみられます。

今年の前半では能・狂言の演目をご紹介しながら
所縁の茶道具をいくつかご紹介していきます。
後半では落語の中に登場する茶の湯を
ご紹介します。
落語の祖とされる安楽庵策伝は遠州公とも
所縁の深い人物です。
近世、茶の湯が人々にどう親しまれていたのか
その笑の中に見えてくるのではないかと思います。

鐘聲(かねのこえ)

2014-12-27 UP


12月 27日 鐘聲(かねのこえ)

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は遠州蔵帳所載の茶入ではなく
先々代から当代のお家元まで、
大晦日の除夜釜で使用している
「鐘聲(かねのこえ)」という銘の茶入を
ご紹介します。

大正12年震災により、稽古中水屋に置いてあった
一つの茶入が割れてしまいました。
当時は稽古道具というものはなく、お弟子さんが
お稽古をする際にも小堀家に伝わる、歴史ある
道具が使われていました。

その茶入も利休が好んだとされる利休瀬戸。
それが見事に割れてしまったのです。

先々代の宗明宗匠は、その茶入の破片を丁寧に
つなぎ合わせ、歌銘を添えました。

百八の煩悩くだく鐘の音に
鬼もすみかにたちかへるらむ

壊れたことで、逆に道具に新しい命が吹き込まれ
以後、除夜の鐘が打たれる年の瀬に、
この茶入が用いられるようになりました

歌銘(うためい)

2014-12-17 UP

12月 17日 歌銘(うためい)

ご機嫌よろしゅうございます。

遠州公が中興名物茶入の選定に際し、
「歌銘」を多くつけたことは、
これまでに何度かお話してまいりました。
その出典は勅撰集を中心に、古典的な
和歌から言葉を選び、つけられています。
雅で洗練された「綺麗さび」を象徴するもの
の一つです。

しかしこの「歌銘」
遠州公が初めて使ったわけではありません。
今のところ一番古い「歌銘」は、
4月28日にご紹介した、義政公の「遅桜」

夏山の 青葉まじりのおそ桜
初花よりもめづらしきかな

といわれています。
しかし、それ以後は遠州公ほどに「歌銘」
を多用した茶人は他にいません。

また、和歌の選び方にも、遠州公は
これまでにない感覚を茶の湯に吹き込んでいます。