12月 23日(水)遠州流茶道の点法
「薄茶・後礼(こうれい)」
ご機嫌よろしゅうございます。
先週は濃茶までお話しました。
今日はお茶事の最後、薄茶についてお話します。
濃茶をいただいた後は席を広間に移して
薄茶をいただきます。
歳暮に広間にうつらず、小間のまま続き薄をすることも
ありますが、通常は遠州流茶道では場所を変えることで、
それまでの雰囲気をガラッと変え、広間では
和やかで気楽な空気を楽しみます。
遠州公は濃茶の後に鎖の間を通って広間に移動し、
精神性を重んじた茶から草創期の書院の茶、
更に古典的な王朝文化を感じられる茶へと、
さながら茶の湯の時代絵巻のように楽しむ空間を
創り上げました。
広間の席に移りましたら、これまでの労を労い、
ご亭主にも薄茶をおすすめして皆で楽しみます。
水菓子などもいただき、芳名帳などがあればここで
記入し、全体で約4時間程度のお茶事もこれで終了です。
お茶事の翌日に再び亭主宅を訪問し
客は後礼といって
茶事のお礼をします。
亭主に感謝の意を伝えましよう。
9月 9日 (水)遠州流茶道の点法
「中置(なかおき)」
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は九月九日、重陽の節句です。
宗家道場では着せ綿が床の間に飾られ
長寿を祝う設えを楽しみながらお稽古が
行われています。
そして少々早めですが今月から中置のお稽古が
始まります。
通常の位置より道具畳の中央に寄せて
風炉を置きます。
当流では、小間・広間どちらでも点法します。
尚この中置には二通りの点法があります。
一つは先月ご紹介した大板の上に小さい風炉・釜を
載せ、盛夏に行います。柄杓を勝手付に置きます。
こちらは四畳半切りでのみ行われるものです。
もう一つは名残の季節に大きな鉄の風炉を織部焼
などの敷瓦に載せて、水指を常とは逆に勝手付に
ニ・三目よせて点法します。
こちらはお客様に火を近く、水を遠くという
考えから生まれたと思われます。
いずれの点法でも、中置の場合には点前座が
狭くなることもあり、合柄杓といって
風炉の柄杓より柄が短いものを用います。
3月 25日(水) 遠州流茶道の点法
「釣釜」(つりがま)
ご機嫌よろしゅうございます。
4月も近づき炉辺も暖かくなってきました。
炉の季節も終わりに近づくと
釣釜をかけてお茶を点てます。
昨年のメルマガでも触れましたが、
小間では台目切りの席の場合、
台目柱と直線が重なってしまうため、行いません。
釣釜は広間にかけて使用します。
小間では炉中の灰を深く掘り、火をお客様から少し
遠ざけ、釜の高さを調節しながらお点法を
行います。釜は炉の時より少し小ぶりなもの、
筒形のものをかけます。
現在では春の時期に掛けられる釣り釜ですが
本来は季節を問わず掛けられていたものです。
遠州公は茶会の際、小間から書院へ移る際に
鎖の間といって、釜を鎖でかけた席を通る設えを
用意しました。(書院と小間を繋ぐ鎖の意味
とする説もあります。)
点法では、お点法の前に釜の高さを上げ、
お点法の終わりにはまた高さを下げて
湯を沸かしておくことが特徴です。