馬蝗絆(ばこうはん)

2014-1-21 UP

1月21日 馬蝗絆

ご機嫌よろしゅうございます。

一月も半ばを過ぎ、
すっかりお正月気分も抜けた頃ではありますが、
せっかくですので馬にちなんだ茶道具はないかと
探してみました。

今日はそのうちの一つ
「馬蝗絆(ばこうはん)」
をご紹介いたします。

南宋時代に作られた青磁茶碗で
平重盛が愛蔵し、室町時代には八代将軍足利義政が
所蔵していましたが割れが生じたため
代わりの茶碗を求めて中国に送りました。
しかし、これほどの出来の良い青磁は焼けないとして
鎹(かすがい)で止めて送り返されてきました。

この茶碗に打たれた鎹を、馬に止まった蝗(いなご)に見立て
「馬蝗絆」と言われるようになりました。

この茶碗は
ご先代の紅心宗匠が昭和25(1950)年3月19日に
「宗慶」の号の襲名披露茶会の折、
遠州公にお茶を献じる際使用されました。
宗匠とご縁の深かった室町の三井高大氏の旧蔵で
現在重要文化財として東京国立博物館に
所蔵されています。

紅心宗慶宗匠が「宗慶」の名をお継ぎになられた理由が
今週末からテアトル新宿、シネリーブル梅田で公開される
遠州流茶道ドキュメンタリー映画「父は家元」の中でも紹介されております。

【告知】

映画 父は家元の情報も
遠州流茶道Facebookページ
にて随時更新して行く予定です。
是非
【いいね!】
をお願いします。
遠州流茶道Facebookページ
http://www.facebook.com/enshuryu

映画 父は家元   公式ホームページ

1月25日~2月7日上映 シネリーブル梅田
「父は家元」
上映時間は
全日10:00~です

数寄者とは

2013-10-9 UP

皆様、ご機嫌よろしゅうございます。

今から34年前の月刊『遠州 10月号』の、先代紅心宗匠が『数寄者とは』、と題して、前田利常公と、小堀遠州の茶の湯問答のことについて書いています。

本日は「数寄者」について、少しひも解いてみたいと思います。

茶湯問答の書状は利常公が「茶湯根本は何と仕たる所を数寄者と申候哉」と、遠州に御尋ねしているとこから始まります。

それに対し、紅心宗匠は遠州が

「目に見、耳に聞き、事にあたる時、自我が実態として存在すると考えて、それにとらわれ、自己主張に溺れる人が多い。全てを知り、全てを忘れてしまい、それらの執着心を捨て去る事が出来たならば、真の数寄者という事ができるのであろう」

と答えている、と意訳しています。

そして後日、遠州は前田邸へ単身出向き、「放下着(ほうげじゃく)」の話を交えながら、茶湯根本について話をしました。

この「放下着」とは、何もかもを脱ぎ去った境地のことを言います。

この「着」は「~せよ」の命令形の助辞で、「放下せよ、全てを捨てよ」という意味であり、これこそが茶湯の根本のひとつであると遠州は利常公に返事をしたのです。

紅心宗匠は最後に、「真の数寄者となる事は誠に困難な事であるが、日々の修練に依り、一歩でも遠州の心に近づきたいものである」と記して、筆を置いている。