能と茶の湯

2016-12-30 UP

12月 30日(金)能と茶の湯
ご機嫌よろしゅうございます。
今年の初めから一年に渡り、能と茶の湯について、
そのゆかりの茶道具とともに
ご紹介してまいりました。
他にも「野の宮」「竹生島」「熊野」等々
今回ご紹介できなかった能も沢山あります。

中世、世阿弥によって完成した能の理念、
ここからおよそ150年程のちに利休によって
大成した侘び茶の精神
この侘びの世界に遠州公は幽玄の世界を重ね合わせ、
茶の湯と能とがつながって、豊かな世界が広がります。

同時に茶人の教養として、茶の湯の他に能などの
文学的教養が下地にあったことも伝わってきます。
普段何気なく目にしている茶の湯の道具の意匠にも
能の世界が隠れているかもしれません。
是非探されてみてはいかがでしょうか?

さて、明日はとうとう大晦日。
年越しのご準備で大忙しの皆様
一息つきましたら、まずはお茶を一服。

良いお年をお迎えくださいませ。

除夜釜

2014-12-31 UP

12月 31日 除夜釜

ご機嫌よろしゅうございます。

いよいよ今年も今日で最後となりました。
宗家の大晦日は例年、除夜釜が行われ
今年一年締めくくりの茶となります。

寄付きでは24日にご紹介した出来立ての
柔らかい甘みの蕎麦がきが振舞われ、
小間・成趣庵ではお家元自らお客様に
濃茶を練ってもてなしてくださいます。

この炉中の火は、埋み火(うづみび)といって
年を越すまで火をつなぐため、炭に灰を
かけておきます。
そしてこの火を、年が改まった翌朝
初炭で釜を掛け直します。

遠州流茶道の宗家で代々守られてきた
暮れから正月の厳粛で、神秘的な行事です。

さて、このメールマガジンも今年元日より始まり、
毎日配信を続け、無事大晦日まで迎えることができました。
ご愛読ありがとうございます。
来年も引き続きまして、
皆様に更なる茶の湯の魅力、
遠州流茶道の魅力をお伝えしていければ
と思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。

大津馬(おおつうま)

2014-12-30 UP

12月 30日 大津馬(おおつうま)

ご機嫌よろしゅうございます。

宗家の除夜釜では例年、
寄付の床に飾られる掛物があります。

何ゆゑかおもに
おほ津のうまれきて
なれもうき世か我もうきよに

という歌とともに描かれた大津馬。

大津馬とは大津の宿駅で、荷物の運送に使われていた
馬の事をいいます。

12月11日にご紹介した沢庵和尚が配流の前に、
江戸に呼ばれて東下りする途中に
詠んだ和歌といわれており、
その歌意を汲んで、松花堂昭乗が「大津馬」
を描いたとされる絵が、
根津美術館に残っています。
この寄付に掛けられる大津馬はその絵の
宗中公の写しです。

この馬を眺めていると
一年の時の流れと人の一生、
そんなことをふと考えてしまうような気がします。

今年の干支は午(うま)でした。
皆様の今年一年はどんな年でしたでしょうか?
明日はいよいよ大晦日です。