12月 30日(金)能と茶の湯
ご機嫌よろしゅうございます。
今年の初めから一年に渡り、能と茶の湯について、
そのゆかりの茶道具とともに
ご紹介してまいりました。
他にも「野の宮」「竹生島」「熊野」等々
今回ご紹介できなかった能も沢山あります。
中世、世阿弥によって完成した能の理念、
ここからおよそ150年程のちに利休によって
大成した侘び茶の精神
この侘びの世界に遠州公は幽玄の世界を重ね合わせ、
茶の湯と能とがつながって、豊かな世界が広がります。
同時に茶人の教養として、茶の湯の他に能などの
文学的教養が下地にあったことも伝わってきます。
普段何気なく目にしている茶の湯の道具の意匠にも
能の世界が隠れているかもしれません。
是非探されてみてはいかがでしょうか?
さて、明日はとうとう大晦日。
年越しのご準備で大忙しの皆様
一息つきましたら、まずはお茶を一服。
良いお年をお迎えくださいませ。
12月 31日 除夜釜
ご機嫌よろしゅうございます。
いよいよ今年も今日で最後となりました。
宗家の大晦日は例年、除夜釜が行われ
今年一年締めくくりの茶となります。
寄付きでは24日にご紹介した出来立ての
柔らかい甘みの蕎麦がきが振舞われ、
小間・成趣庵ではお家元自らお客様に
濃茶を練ってもてなしてくださいます。
この炉中の火は、埋み火(うづみび)といって
年を越すまで火をつなぐため、炭に灰を
かけておきます。
そしてこの火を、年が改まった翌朝
初炭で釜を掛け直します。
遠州流茶道の宗家で代々守られてきた
暮れから正月の厳粛で、神秘的な行事です。
さて、このメールマガジンも今年元日より始まり、
毎日配信を続け、無事大晦日まで迎えることができました。
ご愛読ありがとうございます。
来年も引き続きまして、
皆様に更なる茶の湯の魅力、
遠州流茶道の魅力をお伝えしていければ
と思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
12月 30日 大津馬(おおつうま)
ご機嫌よろしゅうございます。
宗家の除夜釜では例年、
寄付の床に飾られる掛物があります。
何ゆゑかおもに
おほ津のうまれきて
なれもうき世か我もうきよに
という歌とともに描かれた大津馬。
大津馬とは大津の宿駅で、荷物の運送に使われていた
馬の事をいいます。
12月11日にご紹介した沢庵和尚が配流の前に、
江戸に呼ばれて東下りする途中に
詠んだ和歌といわれており、
その歌意を汲んで、松花堂昭乗が「大津馬」
を描いたとされる絵が、
根津美術館に残っています。
この寄付に掛けられる大津馬はその絵の
宗中公の写しです。
この馬を眺めていると
一年の時の流れと人の一生、
そんなことをふと考えてしまうような気がします。
今年の干支は午(うま)でした。
皆様の今年一年はどんな年でしたでしょうか?
明日はいよいよ大晦日です。