12月9日(水)遠州流茶道の点法
「茶事・会席」
ご機嫌よろしゅうございます。
亭主がお客様それぞれに挨拶をして
風炉の場合は会席が、炉の場合は
まず部屋を暖めるため炭点法をはじめます。
炭点法が終わると亭主は
「粗飯を差し上げます」
と挨拶して、お膳を出し会席が始まります。
茶事で振舞われる会席は日本料理の
基礎となっていると言われています。
これまで、自分で調味料をつけていただく
スタイルから、予め調味されて出される
お仕着せ料理へと変化していきます。
また三の膳、五の膳など、豪華で目の前にずらりと
膳が並び、食べきれない程の量が出された本膳料理から
膳が一つに限られ、一つ一つ食べ終わるごとに
そのつど温かい料理が適当なタイミングで運ばれて
食べきれる量のスタイルへと変化していきます。
遠州公も一つ一つの料理を少量にして、食べきれる
料理をお出しするよう工夫しています。
7月 10日 (金) 納豆の日
ご機嫌よろしゅうございます。
7月10日は納豆の日とされています。
今日は納豆と茶の湯についてご紹介します。
納豆は鎌倉時代、動物性たんぱく質を
摂ることのできなかった禅宗の僧侶が、
精進料理として、取り入れたもの
といわれています。
江戸時代には納豆は早朝に行商が
売り歩きにきました。
庶民にも広く普及していたようです。
この頃まではまだ醤油も普及しておらず
納豆は調味料的な利用をされ、
汁にすることが多かったようです。
茶の湯に関して言えば
千利休最晩年の天正十八(1590)年から
十九年にかけての100回に及ぶ茶会記を記す
『利休百会記』の中で
天正十八年に7回、茶事の会席において
「納豆汁」を出した記録があります。
秀吉や細川幽斎などの武将にも振舞っています。
天正18年は利休が自刃する前年ですので、
利休の茶の湯も確立された頃
納豆はその精神に叶う食事として会席に利用した
のでしょうか。
11月 13日 遠州公とワイン
ご機嫌よろしゅうございます。
今日はワイン好きの方には待望の
ボジョレーヌーボー解禁日です。
フランス・ブルゴーニュ地方のボジョレー地区
で作られる新酒。
毎年11月の第3木曜日午前0時に販売が解禁されます。
その年収穫された葡萄で作る、若々しいワインは
そのフレッシュな味わいを楽しむため、
普通のワインとは異なり、
冷やして頂くと美味しいそうです。
さて、遠州公は会席の前に、徳利に葡萄酒を入れて
お出しするなど鎖国政策の敷かれていた
当時の日本としては大変珍しく
貴重だった葡萄酒を茶の湯に巧みに
取り入れていました。
これは遠州公が歴代の長崎奉行との深い交流
があり、葡萄酒を手に入れやすい環境に
あったことが一つの要因のようです。
また黒田藩主忠之公に葡萄酒を贈った際の
添え状も残っています。
6月 27日 豆腐のように…
ご機嫌よろしゅうございます。
長い梅雨もあと少し、本格的な夏の到来が近づいてきました。
豆腐も冷奴が美味しい時期になりますね。
今日は3月23日に「懐石と菓子」というテーマで行われた
公開討論会において、お家元がお話しくださった
豆腐の話をご紹介します。
松平不昧の歌に
世の中は丸で四角で三角で
豆腐のように飽きられもせず
という歌があります。
なるほど豆腐という食材は形を様々に変え、
また冬には湯豆腐、夏には冷やして
常に人々に愛される食材です。
こんな豆腐のようにどんな状況にも順応し
ていける人間になりたいものです。
さて、豆腐にはよく、紅葉の型抜きにした人参が添えられている
のを目にするのではないかと思います。
この不昧公の歌にも、豆腐に添えられた
紅葉の人参が描かれた絵があります。
この紅葉には実は意味があるそうで、
・豆腐にこうよう(紅葉→効用)がある
ということ、また
・よくこうよう(買うよう)に
というかけ言葉になっているのだそうです。
彩りというだけではなく
紅葉の人参にこんな意味がこめられていたのですね。
6月 13日 会席と懐石
ご機嫌よろしゅうございます。
きょうは「かいせき」のお話を。
「懐石」と「会席」
同じく「かいせき」と読みますが、
この違いご存知でしょうか?
三月に行われました、「懐石と菓子」を主題とした
公開討論会で、冒頭お家元が解説してくださいました。
茶事で使われてきた漢字は本来「会席」のほうでした。
「懐石」の字が現れるのは元禄三年(1690)
利休没後百年に立花実山が書いたとされる「南坊録」から
「懐石」には 修行僧が、温めた石(温石)を腹に当てることで
空腹をしのいでいたことから懐の石という字が当てられており、
華美に走る傾向にあった当時の茶の湯に警鐘を鳴らす意味で
実山はこの字を当てたと考えられます。
酒井宗雅や松平不昧、井伊直弼などの大名、石州系ではこの
「懐石」の字をよく使っていたようで
一般的に使われるようになるのは明治頃からです。
遠州公の時代より古くから記録に残るのは「会席」
の方で、遠州流ではこれに習い、「会席」の字を用います。
普段私達が料亭で目にする「懐石」のお料理は
とても、修行僧の禅の精神からくる言葉とは結びつかない
豪華さで、語源を聞くといささか違和感を覚えます。
3月 23日 公開討論会
今回の討論会のテーマは
「懐石と菓子」です。
昔日本では自分で味を調整し、食事をするスタイルでしたが
茶室で食事をお出しする茶事では予め
味つけをしてお客様にお出ししました。
これが日本料理の原型となります。
また菓子もその昔は砂糖が希少な時代。
干し柿などの自然な甘みのものを菓子としていました。
この二つの歴史を辿りながら
合わせてそれにふさわしい器についても
ふれていきます。
お家元はじめ、4人の講師の先生が
それぞれの立場からお話し下さいます。
ご興味のある方は是非事務局までご連絡ください。
詳細
第27回公開討論会
日時:平成26年3月23日(日) 午後1時~4時
会費:お一人様2,500円
テーマは『懐石と菓子』
申込方法 電話(03-3260-3551)にて受付
郵便振替:00190-5-770872 財団法人小堀遠州顕彰会