南坊録

2014-11-30 UP

11月 30日 南坊録

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は黒田藩立花実山の編著といわれている
「南坊録」のお話しをしたいと思います。
月  日に立花 実山についてお話しをしました。

黒田忠之の江戸参勤の折、共をしていた実山が
利休の言葉を伝える伝書なるものを見せられ、
その後実山が書き写したとされる「南坊録」

以前は利休の教えを伝える第一の書とされていましたが、
記載年号の間違いや、南坊という禅僧の存在の確証がないこと
などから、実山の作った偽書との疑いがもたれていました。

書中あるエピソードのなかには、利休が実際に話したこともあると思われますが
利休没後100年に実山が、乱れた茶の湯の世界を
憂い、実山の思い描く利休像が投影されて
いるとも考えられます。
今後の研究が待たれるところです。

松岡正剛氏の千夜千冊にも「南坊録」について
詳しく書かれています。
よろしければこちらもご覧下さい。

遠州公の白

2014-8-29 UP

8月 29日  遠州公の白

ご機嫌よろしゅうございます。

8月8日に、遠州公が抹茶の製法を
「白茶」に戻したお話をいたしました。

そして織部の緑
これには茶人の好みが反映されています。

それぞれの茶人の好みをシンプルに色で表すとするなら
利休の「黒」
織部の「緑」
遠州の「白」
とお家元は表現しています。

全てを包有する、他の存在を許さない「黒」
己の感性を先鋭に表した「緑」
「黒」も「緑」をも受け入れることのできる「白」

利休、織部の茶は己の精神.主観性を追求するもの。
それに対して
遠州はその日のお客様に合わせて
その好み・趣向を考え、道具の取り合わせを自在に
変えるなど相手の心を映した茶でした。

オリンピック招致で話題となった
「おもてなし」の日本の心ですが、
茶の心、とりわけ
この遠州公の「白」の好みが生きているような気がいたします。