9月1日(金)茶の湯に見る文様「網」

2017-9-1 UP

ご機嫌よろしゅうございます。

先週まで水辺のものにちなんだ文様をご紹介してまいりました。

今日は「網」についてのお話を

漁業で使用する網代も茶の湯の中によく登場します。

志野や織部などの美濃焼には網干はよく描かれる文様です。

昨年ご紹介した能「桜川」を題材とした西村道仁作の

「桜川釜」は肩から胴にかけ網目を表し、羽落ち近くに

桜の花二輪。

これは我が子を探す狂女が、子供と同じ名の桜を網で掬う

様子を想起させます。

また名物裂では織田有楽の所持と伝えられる「有楽緞子」

の地紋に網目文様が見られます。

他、文様ではありませんが、風炉先に網代を用いて

涼しげな様子を茶席に取り入れますし、

茶室の点法座の天井には、網代天井がよく用いられます。

落ち天井になったつくりは亭主の謙遜の意を表したもの

と言われています。