7月29日(水) 遠州流茶道の点法

2015-7-29 UP

7月29日(水) 遠州流茶道の点法
「茶巾について」

ご機嫌よろしゅうございます。

普段あまり注目されることのない水屋道具の
一つに茶巾がありますが、
しかし、点法中茶碗を清める道具としては
なくてはならない存在でもあります。

利休も、ある人に道具を見たてて買って欲しいと
金一両を渡されますが、そのお金で残らず
白布を買って送りました。

清潔な茶巾さえあれば茶の湯は出来る
それこそが茶の湯の極意というわけです。

さて遠州流茶道で用いる茶巾は
古くは近江の照布と言われる麻を使用し
現代では保田織とよばれるものを使います。
目が荒くコシがあり、水切りが良いのが特徴です。

保多織は香川県の代表的な織物で
1689(元禄2)年高松藩主・松平頼重公が産業開発と
幕府への貢献のため、京都の北川伊兵衛を
招いて新しい織を開発します。
松平家は一般の使用を禁じ、製法は一子相伝の秘法と
させ保護、幕府への献上品として使われたことから、
江戸時代は上級武士にしか着用が許されませんでした。

水切れがよく、いつまでも丈夫なことから
「多年を保つ」という意味で「保多」という
名がつけられたといいます。

この奈良の「保田織」と高松の「保多織」、
たの字が異なるのですが、織り方は高松の保多織と
同じ手法で、本家の多の字を使うことを避け
奈良では多を田と当て字をしたのではないかと
思われます。もしこの違いについて詳しくご存知の方が
いらっしゃいましたら是非、教えていただければ
と思います。

この茶巾は両端のかがりが一方向のため、両面が表面として
使えます。
点法の際は両手で広げた際、
茶巾の上のかがり部分が自分の方に向くように
持って捌きます