薫風自南来
2014-5-8 UP
5月8日 薫風自南来
ご機嫌よろしゅうございます。
爽やかな初夏の風が心地よく感じられるこの季節
新緑の間を吹き抜け、若々しい緑の香りをもたらしてくれる
という意味の薫風(くんぷう)という言葉がぴったりです。
この時期よく掛けられる禅語に
薫風自南来
という言葉があります。
南から吹いてくる爽やかな風が、全てのものの
心を爽やかにしてくれる、そんな様子を表しています。
また、この風を、インドから中国へ仏教を伝えた達磨大師
ととらえる読み方もあるようです。
この語は唐の文宗皇帝が、
人は皆炎熱に苦しむ
我は夏日の長き事を愛す
と作った詩をうけて、柳公権という詩人が、
続けて一篇の詩としたものです。
薫風自南来
殿閣微涼を生ず
世の人々は夏の暑さを嫌がるが、
私はその夏が長いことを好んでいる。
暑い中、時折吹く薫風によって宮中が清々しくなる
のはとても心地よく、こんな気分は、夏でないと味わえない
といった意味です。
その後この詩を庶民の苦しい暮らしを知らないが故のもの
として批判する人物も現れたようですが、
この言葉が禅語として重用されるのは
薫風自南来という、自然の情景を示すこの言葉を聞き、
大慧禅師が大悟したといわれるため
なのだそうです。