6月 17日(金)能と茶の湯
2016-6-17 UP
6月 17日(金)能と茶の湯
「金剛裂」
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は能に所縁の深い裂地のご紹介を
致します。
黄・白・浅緑などの八色の縦縞の地全面に、
菱の模様をおりこみ、金の色を抑えながらも
瀟洒で高雅な趣を醸し出しているのが
「金剛裂」です。
この裂は、能楽師の金剛太夫が大坂城中での
会に招かれ豊富秀吉から引出物として
賜ったと伝えられています。
金剛座のもとは、古くは鎌倉期法隆寺に奉仕していました。
能装束が縫箔や唐織の華美なものになるのは
この頃からで、そいれ以前は武家の日常衣服の狩衣
水干、小袖を用いており、それを演技の褒賞に与える
ことが恒例となっていました。
これが応仁の乱の後、能の様式化、
衣装の特殊化が進んでいきます。
この金剛裂は大名物「種村肩衝茶入」や、「槍の鞘茶入」
中興名物「金華山鷹羽屋」「玉川」本歌などの仕覆に
用いられています。
卍や雲鳥模様などがみられるものは、この裂の反物の
織留部分を好んで多く使われたことによります。