4月 11日(月)お稽古場の風景
2016-4-11 UP
4月 11日(月)お稽古場の風景
「直入軒の床の間拝見」
ご機嫌よろしゅうございます。
暖かな日差しの中、
宗家道場へお稽古にいらっしゃる門人の方は、
まず春を床の間から感じ、
そして春ならではのお点法の稽古に臨まれています。
この季節は釣り釜や、透き木釜、茶箱の設えがされ、
稽古場はさながら花見に野点の趣向を楽しむかの
ように終始明るく賑やかなな様子です。
床 紅心宗慶宗匠筆 三十六歌仙・紀貫之
さくらちる木の下風は寒からで
空にしられぬ雪ぞ降りける
花 加茂本阿弥椿 袋藤
花入 備前 旅枕
掛物は貫之の代表歌として知られる『拾遺集』所載の一首です。
「桜が散る木の下を吹く風は寒くはないが、
空には知られていない雪、落花の雪が降っている」
という意味の歌です。
桜が散り急ぐ木の下をゆく風はもちろん寒くはない、
という前提は、下句で「空にしられぬ雪」という、
しゃれた落花の比喩を用いるための準備です。