遠州公ゆかりの茶陶
2018-5-4 UP
ご機嫌よろしゅうございます。先週に引き続きまして
青嶋さんにお話しを伺います。
●遠州公の時代から現在まで、志戸呂焼は瀟洒な
茶陶を生み出しています。青嶋さんも宗実御家元の
ご指導を受けて遠州好みの作品を制作されていますね。
御家元のご指導や他の作陶と違う点について教えてください。
青嶋さん:御家元のところに伺うと古いものをよく拝見させてい
ただく機会があり、部分的に形や細工を変えてみる等の細かい点も
ご指導をいただけるのでとてもわかりやすく勉強になります。
志戸呂焼は渋めの釉薬が多いので、遠州好みの端正な形や薄造りを
心掛けて茶道具以外にも取り入れています。
●利陶窯は志戸呂で唯一の登り窯と伺いました。
登り窯の大変な点を教えてください。
青嶋さん:まずは燃料の赤松を確保することが難しくなってきました。
利陶窯の周辺には無いので山梨県や長野県から運んで来ます。
●赤松を燃料に焼かれているのですか。
青嶋さん:赤松は松やにが多く見られるように、樹脂が多いので
火足が長く温度が上昇しやすいために焼き物ではよく使われています。
杉や檜でも焼いた事はありますが、時間がかかるうえに作品の
発色がよくありません。赤松は樹脂が多いためか煤(すす)が
多く燻された感じで色に深みが出るように思います。
2日かけて500点程の作品を焼くので登り窯を焼くのは年1~2回です。
500点焼いても壊れるものが多いので完成品は僅かです。
●作品が出来上がるまでには大変な苦労があるのですね。
本日はありがとうございました。