遠州公ゆかりの茶陶「伊賀焼」③

2019-1-30 UP

〇遠州公と伊賀焼

ご機嫌よろしゅうございます。

伊賀焼では、藤堂高虎を岳父にもつ遠州公の影響も伝わっています。

『三国誌』に「寛永年間小堀遠江守陶工をして茶器を製せしむ、其製極めて精良なり」

とあり、「遠州伊賀」と呼ばれています。「遠州伊賀」の特色は漉土にあって、それ以前の荒土の製に比べ肌が細かいことが知られています。

また「伊賀の七焼き」とも言われるように、伊賀焼の特徴である焦げや激しい造形は同じ作品を何度も窯で焼くことで生み出されるといわれることがありますが、「遠州伊賀」に関してはおそらく登り窯で一度の焼成で作られているようで、浅い火色に優美さが感じられ、「筒井伊賀」「藤堂伊賀」とはまた異なった繊細な雰囲気が印象的です。

昨年12月に根津美術館で開催された「新・桃山の茶陶」でも紹介されていましたが

伊賀焼の水指などは、藩が贈答品として用いるために大名がその生産や流通に携わっていたため、当時は市場にでまわることはほとんどありませんでした。