茶の湯にみる文様「雲」
2017-7-14 UP
ご機嫌よろしゅうございます。
長く鬱陶しい梅雨の季節
カラッと晴れた青い空を覆い隠す雲が、時折
恨めしくなりますが、今日はそんな雲の文様の
お話でもしながら、気を晴らすことに致しましょう。
雲文は中国では古くから陰陽の気の現れとして尊ばれ、
神仙術や道教、仏教などの荘厳用に様式化され、吉祥文
として扱われます。
同じく吉祥文様の龍文、鳳凰文、鶴文や、宝尽し文と
取り合わせることが多く、雲単体は少ないようです。
有名なものには夢窓疎石の袈裟とも伝わる「嵯峨金襴」
勘合貿易で運ばれた嵯峨金襴の類文の裂「富田金襴」
遠州公の道号であり、春屋円鑑国師筆「大有号」の表装では
中廻しに雲を単体で五の目に配した「白茶地地雲文緞子」が
使われています。
他様々な道具や裂地に雲の姿を見ることができます。
また、「雲堂手」と呼ばれる文様は渦巻状の雲形と楼閣が
染付によって描かれたもので、「紀三井寺」とよばれる
茶碗はその代表的なものです。
もとは香炉であったものを利休が茶碗に転用したといわれています。
名前の由来は諸説ありますが、『茶器名物図彙』では遠州公が
染付に描かれた人物を観音に見立て、観音霊場として有名な
紀州・紀三井寺から名をつけたと説明しています。