7月 16日 送り火
ご機嫌よろしゅうございます。
ご先祖様が13日にいらっしゃり、
16日(15日ののところも)送り火の煙とともに、
お帰りになります。
送り火と迎え火は玄関先で、焙烙の皿の上で
オガラや松の割り木などを乗せて燃やします。
オガラは麻の皮をはいだあとに残る芯の部分のことで
麻は古来から清浄な植物として考えられてきました。
悪いものを祓い清め、また燃やすことで
清浄な空間を作り出すという意味が込められて
いるといいます。
毎年8月16日に行われる京都・五山の送り火
(大文字焼き)もお盆の送り火です。
7月15日 中元(ちゅうげん)
ご機嫌よろしゅうございます。
今日はお中元のお話を。
お世話になった方へ贈り物をする現在のお中元
この習慣は古くは神や御先祖への捧げ物でした。
もともと中国では道教に由来する年中行事として
年三回、それぞれ天官、地官、水官
という神々にささげものをする日があり、
その中で15日に祀る地官のことを「中元」と呼びました。
この中元の神様は善悪を分別し、人間の罪を許す役目なので
さまざまな贖罪の行事が催されます。
この風習が日本にもたらせられ、お盆の祖霊供養に
お供えを贈った風習と混じり合って
仏に供えるお供物を親戚や隣近所に贈る習慣となった
といわれています。
7月14日 夏は夜
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は枕草子の一節をご紹介します。
夏は夜
月の頃はさらなり
闇もなほ、蛍のおほく飛びちがひたる
また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし
雨など降るもをかし
月明かりにほのかに光る蛍
そして、突然の夕立
どれも夏の夜にふさわしい、美しい情景です。
「をかし」は趣がある、風情があるといった意味。
日常の風景の中に風情を見つけ、それを巧みな表現力
で表した「枕草子」は「をかし」の文学とも言われます。
特にこの「春は曙…」から始まる四季の一節は
原文で読んでも、確かにその美しさに共感できる
日本人の美しいものに対する感性は、現代に通づるものだと
実感できます。
これが千年以上前に書かれたものであるから驚きです。
7月 13日 お盆
ご機嫌よろしゅうございます。
東京では今日がお盆の迎え火です。
お盆には先祖の霊があの世から家族の元に帰ってきて、
再びあの世に帰っていく、という日本古来の祖霊信仰と
仏教が結びついた行事です。
正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)といい
盂蘭盆とは、「逆さまに吊るされたような苦しみ」
という意味の仏教用語です。
この苦しみから先祖の霊を救うため
供物を備え、供養します。
日本では推古天皇十四年(606年)には
既に盂蘭盆を行ったという記録があります。
お盆の期間は地域によってさまざまですが
東京では7月13日から7月16日、
その他の地方では8月13日から8月16日に行われる
ことが多いようです。
7月12日 「七夕」
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は遠州蔵帳所載の茶入で
「七夕」の銘を持つ茶入をご紹介します。
二代大膳宗慶が
これほどの茶入は、大切にして年に一度位に取り出すの
がよいという意味で「七夕」と名付けたと言われており、
内箱書付は大膳宗慶が「七夕」と書き付けています。
遠州公の茶会記には特に記載はありません。
小堀家から神尾若狭守元珍に伝わり、その後小堀家茶道頭
和田晋兵衛の所持となり、同家に伝わりますが
大正時代中村太郎吉の所蔵となります。
「神尾蔵帳」にも記載されています。
7月11日 小堀家の家紋
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は小堀家の家紋について
皆様ご存知の「七宝花菱」は小堀家の家紋であり
正式には「花輪違い紋」と呼ばれています。
もともと小堀家の家紋は、表紋として使われていたものが
「鶴の丸」、裏紋として「丸に卍」が使われていました。
当時の武家は二つの紋を持ち、用途で使い分けていました。
それを、遠州公が改めたのが七宝花菱と言われています。
そして今では遠州流の紋としても使用されていることは5月30日にご紹介
しました。
小堀家に伝わる道具には「鶴の丸」に形どった蓋置
が残っています。
遠州公の美意識によって定められた家紋
東京国立博物館に所蔵される甲冑にも
この「花輪違い」の文様をあしらっており
「武」の中にも遠州公ならではの綺麗さびの心を
織り込んでいることが伝わってきます。
7月10日 今日お参りすれば一生分の御利益あり
四万六千日
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は7月10日
この日には観世音菩薩の縁日が開かれます。
この日に参詣すると、四万六千日分お参りするのと
同じご利益があると言われています。
年に換算すると、約126年に相当し、一年で一生分
参詣できたことになります。
東京では浅草寺や護国寺の四万六千日が有名です。
徳川時代以来、江戸の庶民はこの日に浅草寺に詣でて
雷よけの赤玉蜀黍や、盆の草飾りのほおずきや
つりしのぶを買って帰りました。
この縁日に合わせて、現在でも境内でほおずき市が
催されており、夏にかかせない風景です。
7月 9日 瓢箪(ひょうたん)
ご機嫌よろしゅうございます。
夏になると瓢箪がその実をつけ、愛嬌ある姿を見せてくれます。
瓢箪はユウガオの変種とされ
「ひさご」とも「ふくべ」とも呼ばれ、
初夏に白い花を咲かせ、実は昔から器などにして親しまれてきました。
縦に割り、水をすくったりもされたことから
柄杓も「ひさぐ」→「ひしゃく」となり
「ひさご」から由来する言葉ともいわれています。
4月 18日にご紹介しました、遠州公の好む形としても
代表的なもので、禅の教えに通づるものがあります。
小堀家歴代の印にも瓢箪の形が用いられているのも
この教えに由来するものと考えられます。
この瓢箪という字、実は「瓢」と「箪」別々のものであることを
ご存知でしょうか?
「箪」は竹で編んだ入れ物で、これにご飯を入れ器として使う
ものでした。
「瓢」には飲み物を。これがいつしか一つになり、
瓢箪という名称になったと考えられます。
「一瓢の飲 一箪の食」という言葉もあります。
7月8日 素麺(そうめん)
ご機嫌よろしゅうございます。
七夕の昨夜、皆さんは何を召し上がりましたか?
朝廷ではこの日の夜の食事には、中国の故事に基づき
索餅という小麦料理を食べていました。
索には縄をなうという意味があり、
細く紐状にし、二本の縄のように合わせたものだと
考えられています。
中国では7月7日に亡くなった帝の子供が疫病を流行らせ、
その魂を鎮めるために7日の日に
好物だった索餅が供えられていました。
この索餅が奈良時代に日本に伝わり、
麦の収穫期に麦餅を作る風習とともに宮中行事に取り入れられ、
一般にも広がっていきました。
そして索餅はのちに素麺に変わり、
七夕に素麺を食ベるようになったといわれています。
また、そうめんを天の川や織姫の織り糸に見立てて、
七夕に素麺を食べるという説もあります。
この素麺の具、筆者はシーチキンを入れるのが定番です。
コクがでておいしいので必ず入れます。
皆さんのお気に入りの具はなんですか?
7月7日 七夕(たなばた)
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は七夕
五節句のうちの一つです。
この夜、天の川を隔てて暮らす牽牛(けんぎゅう)と織女が、
一年で一度だけ会える日とされています。
この伝承は奈良時代に中国に伝わり、
平安時代には供え物を庭に並べ、裁縫や管弦などの上達を願いました。
七夕は、この牽牛・織女星の伝説と、
そこから発達した乞巧奠(きっこうでん)の行事に、
日本古来の「棚機つ女(たなばたつめ)」の信仰が
混ざり合って形成されたものです。
このたなばたつめは機で織った布を神におさめ、
病気や災厄が起こらないように、そして裁縫の手が上達するよう
願ったとされていて
もともと7月7日の夕方を表して七夕(しちせき)
と呼ばれていましたが、
この「棚機つ女」がもとになり「たなばた」と
呼ばれるようになりました。
例年曇りがちで、なかなか空がすっきり見られないのが
悩ましいところです。
さて、本来この七夕は旧暦の7月7日でないと星座が違ってしまいます。
従って、残念ながら実際の所
二人が会えることは極めて稀ということになります。