今月の菓子
2017-2-13 UP
2017-2-13 UP
2017-2-10 UP
2月 10日(金)茶の湯と文様
「鶯」
ご機嫌よろしゅうございます。
2月4日に立春を迎え、8日から七十二候の
「うぐいすなく」に入りました。
「春告鳥」とも言われる鶯の
新しい季節の到来を教えてくれる可愛いらしいさえずりです
香道具の一つに「ウグイス」と呼ばれるものがあります。
続後拾遺和歌集の中に
あかなくに折れるばかりぞ梅の花
香をたづねてぞ鶯の鳴く
という歌があります。
後水尾天皇の中宮・東福門院が、
使用済みの香包をさす竹や金属製の棒状の香串を
この歌から「ウグイス」と命名したといわれています。
画題としても盛んに取り上げられる梅に鶯の取り合わせは、「鶯宿梅」と呼ばれ、
物事の適切な組み合わせの例えにも用いられますが、
逆に正岡子規はこの組み合わせを安易に用いることを嫌い、
月並俳句として戒めるようになりました。
鶯の描かれている茶道具に仁阿弥道八の「錆絵竹鶯図茶碗」
があります。滴翠美術館の所蔵で、竹の葉と、
枝にとまる一羽の鶯が描かれた一碗です。
2017-2-6 UP
2月6日 (月) 宗家道場の床の間拝見
ご機嫌よろしゅうございます。
立春も過ぎ、冬の間張り詰めていた氷を
春の風が解かしはじめます。
宗家道場の床の間も、新しい季節を感じさせてくれます。
床 紅心宗慶宗匠筆 松竹梅絵賛 三幅対
松無古今色 竹上下有節 柳緑花紅
花 曙椿 蝋梅
花入 染付高砂
こちらの掛物はご先代がおかきになられた三幅対です。
「松に古今の色無し」「竹に上下の節有り」は対句で
松は常に青々として常住不変の一方、竹の節は差別(区別)
の存在を表します
「柳は緑、花は紅」は、自然のあらゆるものがそのままで
真実を具現している様を表しています。
三幅対は、これらの禅語の松、竹、柳の部分を絵で、
他を文字で書いています。
花入は高砂。新春にふさわしい花入です。昨年の2月の
メールマガジンで、能「高砂」と花入についてご紹介しました。
こちらもご参照ください。
2017-2-3 UP
2月 3日 (金)茶の湯と文様
「早蕨」
ご機嫌よろしゅうございます。
厳しい寒さの中芽をだす早蕨は、私達に
待ち望んだ春の到来を教えてくれます。
蕨は常緑性のシダ植物で日当たりのよい
山地に生え,早春先端がこぶし状に巻いた新芽が
地下の根茎上から直立して生えてきます。
これを山菜として食用に、また根茎から蕨粉を
とり、わらび餅などにつかわれます。
先端がくるくると巻かれたその独特な形は
土器や古墳にも描かれ、万葉の頃から春を告げる
植物として歌われてきました。
茶道具の中では、
桃山時代の「黒織部蕨文茶碗」があります。
五本の蕨が上に向かうシンプルなデザインですが、
力強い芽吹きを感じさせます。
また釜の鐶付にも早蕨をモチーフとしたものが
よく見受けられます。
またその景色に蕨の姿を感じ取って「さわらび」の
銘をつけられた魚斗屋茶碗が東京国立博物館に所蔵されています。
五世宗香政峯公が源実朝の歌集である「金塊和歌集」から
さわらびのもえいづる春に成りぬれば
のべのかすみもたなびきにけり
の歌より命銘したと言われています。
2017-1-30 UP
1月 30日 (月)来月の行事
豊かなる常磐の松の若緑
なお立ちそはむ春ぞ久しき
この詠歌は寛永5年(1628)
遠州公五十四歳の時にの消息文の
中に「御夢想 三日立春」と題して詠まれた歌です。
2017年の立春は2月4日です。
さて、来月、2月25日(土)遠州茶道宗家では
菅原道真公を祀る「御自影天神供養茶会」が
催されます。
このお茶会では床の間に菅原道真公の御自影の軸が
かけられます。
これは遠州公が信仰されていた天神様の御自影に、
大徳寺156世江月宗玩が賛をなされた一軸で、
永く小堀家に伝来し、毎年2月25日に
ご供養しています。
読経の終わる頃にはその頬が赤く染まるという
伝説のある、霊験あらたかな天神様です。
引き続き催される茶会には遠州公ゆかりの茶道具が
用いられます。
2017-1-23 UP
1月 23日(月) 落語の中の茶の湯
ご機嫌よろしゅうございます。
新春には初笑いを求める人々で
寄席が活気づきます。
今日は落語の祖といわれる安楽庵策伝について
ご紹介致します。
誓願寺法主でった安楽庵策伝は
遠州公とも交流のあった人物でした。
遠州公の伝書をもとに茶書「草人木」の
編集にも関わっています。
策伝は庶民に仏の教えを優しく
楽しく説くため、いわゆる「落し噺」を
高座で演じて布教しました。
この話をまとめ、板倉重宗京都所司代の求めに
応じて献呈した笑話集が「醒睡笑」です。
うつけ・文字知顔・堕落僧・上戸・うそつきなど、
多様な庶民の登場人物がつくる、豊かな笑いの世界。
のちの落語、近世笑話集や小咄集に大きな影響を与えました。
この「醒睡笑」は8巻からなり、全1039話の滑稽話
が収められています。
その中に今日でも演じられる「子ほめ」「無筆の犬」
「かぼちゃ屋」「平林」「星とり竿」など、
現在に語り伝えられている落語の元ネタとなった話がみられます。
2017-1-20 UP
1月 20日(金)茶の湯にみる文様
「鶴」
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は日本に馴染み深い鳥「鶴」の文様を
ご紹介します。
会席においては江戸時代、高級食材として珍重
されていました。また将軍自ら「鶴御成」という
狩で捕った鶴を京都御所へ献上し、正月に登城した
諸大名に吸い物として賜りました。
「鶴は千年、亀は万年」などと言われるように
亀と共に長寿の象徴とされている動物で、
中国では古くから仙人の鳥、仙禽とされ
松や霊芝などとともに吉祥文様として描かれていました。
鶴の型押し白象嵌文様の青磁は「雲鶴」と呼ばれます。
高麗末期の筒茶碗を「古雲鶴」とよび、
李朝中期に茶人が注文し釜山の倭館窯で焼かれたたものは
「御本雲鶴」と呼んで区別します。
野村美術館所蔵の中興名物「御本立鶴茶碗」は、
寛永十六年(1639)、将軍家の大福茶のために制作されたもので
3代将軍家光が下絵した立鶴を中央に
描き、遠州公が切形をもって釜山の窯に注文したといわれているのです。
2017-1-16 UP
1月 16日(月)
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は宗家のお正月にいただくお菓子
「紅白饅頭」をご紹介致します。
お客様のいらっしゃる頃合いを見計らって
温めた小ぶりの紅と白のお饅頭に、
口取りを添えてお出しします。
銘々皿は今年の干支とお家元の焼印が押され
新しいへぎの杉が清々しく映ります。
こちらは新大久保にある源太萬永堂製。
源太の名は主人の本名の源田と同じ音で、
歌舞伎などで知られている「悪源太」から
戸川宗積先生がつけられました。
「剛勇で知られた源義平のあだ名である悪源太
その上、源が太っていくという漢字から縁起も
良い」と選ばれた屋号です。
更にお目出度い「萬永堂」とご先代が名付け、
揮毫された扁額がお店に掲げられています。
本年は宗家道場のお稽古でいただく源太製のお菓子を
毎月ご紹介する予定です。
どうぞお楽しみに。
2017-1-14 UP
1月 14日(土)茶の湯にみられる文様
「梅」
ご機嫌よろしゅうございます。
本日は「梅」をご紹介します。
新しい年を迎え、他のどの花よりも早く花を咲かせる
ことから梅は「百花の魁」とも言われます。
梅が初めて文献に登場するのは天平勝宝三年(751)
に成った漢詩集「懐風藻(かいふうそう)」所収
葛野王(かどのおおきみ)の五言詩「春日鶯梅翫(かすがおうばいをはやす)」
で、梅に鶯の組み合わせで歌われます。
もとは弥生時時代に稲作と共に薬用として中国から
伝わりますが、その美しさに加え、香り高い梅の花は
やがて貴族の間で愛でられる花となっていきます
画題としても多く描かれ、茶の湯においても様々な道具に
描かれ、目にすることも多いことと思います。
裂地としては利休が好んだ利休緞子や
大名物「唐物丸壷茶入 利休丸壷」の仕覆に「藤種緞子」
など他たくさんあります。
香合では利休所持「利休形溢梅蒔絵香合」が有名です。
2017-1-9 UP
1月9日(月)宗家の正月
ご機嫌よろしゅうございます。
宗家の正月三ヶ日は多くのお客様がご挨拶に見えられます。
元旦は歌舞伎役者が顔を見せ、
二日には遠州流職方・向栄会の会員が集まり、御家元に御挨拶し、
お屠蘇を一同で頂き、その後、茶席に移動してお茶を頂きました。
お茶を頂いた後は、直入舎において祝膳を頂くのが恒例となっています。
広間対酌亭は今年の御題「野」にちなんだ道具組
掛物は、遠州公が沢庵に当てた手紙
花入は御家元が竹林でお探しになり作られた青竹
香合も野をイメージさせる深緑の瓢箪形に鳳凰の絵
他詳しくは点初めをお楽しみに。
さて、明日から正月恒例の行事
「稽古照今 点初め」が6日間に渡って行われます。
宗家では、お家元御家族をはじめ、遠州流茶道門人
総出で皆様をお迎えする準備の真っ最中です。
皆様当日楽しみにお越しくださいませ。