秋の園遊会
2024-12-1 UP
本年もあとわずかとなり、例年のことながらこの一年間の自分自身のことを反省も含めて振り返り……といいたいところであるが、現実はそれどころではない。次から次と多くの行事や課題に明け暮れている。
これを苦しいと捉えるか否か、あまりにも忙しい時には敢えて「幸せである、ありがたい」と私は考えるようにしている。するべきものが沢山あるのは、活機〔かっき〕を齎〔もたら〕すことにつながってくる。「明日は……」と考えて「何もない」より、「明日は〇〇、明後日は□□」とある方が私の生き方には合っている。だからこそ、ちょっとした時のお茶の一服のおいしさや、茶の湯の花の美しさが、心をいつも平穏にしてくれていると思う。
去る十月三十日、赤坂御苑における秋の園遊会にお招きをいただいた。東京は前日の晩は大雨模様であった。私は天候には比較的恵まれている方なので、常日頃あまり心配することはないが、さすがにこの時は少々気になった。でも激しい雨音を聞きながら、常の如く、明日は大丈夫となんとなく思いながら就寝した。
翌朝、目覚めとともにカーテンを開け窓の外を見ると、なんと期待に反して小雨が降っていた。量は少ないが、かえって煩わしい雨である。それでも受付時間の十二時半までは相当ある。私はたぶん晴れると勝手に決めて、朝の一服を味わった。十時半過ぎになると雨が止み、十一時過ぎには空には晴れ間が見られ、その後は全くの晴天となった。
十二時過ぎ、妻の貴美子とともに宗家を出発。車の入口は予め決められており、指定通りの赤坂門に向かうが、すでに青山通りは渋滞。ようやく御苑内に入っても、多くの招待者の車でなかなか進まず、車を降りたのは一時近くであった。その後、貴美子と御苑内を散策しつつ、陛下のお出ましを待つべく列に並んだ。
皇宮警察の音楽隊による「君が代」の演奏が始まった。この時点で空は真っ青で、私と妻の立つ場所は強烈な日差しであり、芝生は完全に乾いていた。さわやかな秋晴れである。
一時四十五分頃、天皇陛下、皇后雅子様のお姿が見える。その後には秋篠宮ご夫妻、愛子様を始め皇族の方々が続かれている。今回女性皇族の方々は和服をお召しになっていらっしゃった。そうこうしているうちに、両陛下が私の前にお出でになられた。お辞儀をすると陛下から「小堀さん最近は……」とお言葉を賜った。詳細はここでは敢えて書かないが、その後雅子様を始めすべての皇族の方々からお言葉を賜った。皇族の皆様の多くが学習院卒業ということもあり、学校時代の話やクラブ活動などの内容もあった。私達夫婦にとっては、本当に光栄な晴れがましい一日となった。ちなみに、ご招待のご案内を頂いた時にはわからなかったが、新聞の招待者リストによると私は「外交関係」のカテゴリーであった。
今年一年の皆様の遠州流茶道に対しての多くのご協力、そして皆様の活動に感謝申し上げます。