11月 16日 遠州公と高取焼
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は先週に引き続き、
遠州公と高取焼についてのお話を
ご紹介します。
高取焼の茶入で有名なものの一つに
「横嶽」という銘の茶入があります。
御所持の茶入 一段見事に御座候
染川 秋の夜 いづれもこれには劣り申すべく候…
前廉の二つの御茶入は御割りすてなさるべく候…
(「伏見屋筆記 名物茶器図」)
黒田忠之公が遠州公に茶入を見せて、
命銘をお願いしました。
遠州公はこの茶入のでき上がりを賞讃し、
先週ご紹介した、二つの茶入「秋の夜」「染川」
よりも優れているとして、前の二つは割捨ててしまいなさい
とまで言っています。
そして九州の名勝横嶽にちなんで銘をつけました。
過去火災に遭い、付属物を消失し釉薬の色も多少変わって
しまいましたが、形はそのままに
現在熱海のMOA美術館に収蔵されています。
11月 15日 七五三
ご機嫌よろしゅうございます。
この時期、小さな可愛いお子さんが
お着物をきて、お家の方と手をつないで歩く
姿をよく見かけます。
慣れない着物に戸惑いながらも、一生懸命
歩く姿はとてもいじらしく可愛いものです。
今日は七五三。
「七歳までは神のうち」という言葉もあるように
かつては、乳幼児死亡率も高く、子供が七歳まで
成長することも厳しい時代でした。
そのため三歳、五歳、七歳と節目ごとに大人の
髪型や着付けに近づけていき、七歳をもって
人間の仲間入りを果たし、その御祝いをする
という意味が、この七五三には込められています。
現代では医療も進歩し、可愛い我が子の成長の
過程を祝う行事として全国に定着しました。
ここまで無事に育ってくれたことへの安堵と喜びが
街ですれ違う家族から伝わってきます。
11月 13日 遠州公とワイン
ご機嫌よろしゅうございます。
今日はワイン好きの方には待望の
ボジョレーヌーボー解禁日です。
フランス・ブルゴーニュ地方のボジョレー地区
で作られる新酒。
毎年11月の第3木曜日午前0時に販売が解禁されます。
その年収穫された葡萄で作る、若々しいワインは
そのフレッシュな味わいを楽しむため、
普通のワインとは異なり、
冷やして頂くと美味しいそうです。
さて、遠州公は会席の前に、徳利に葡萄酒を入れて
お出しするなど鎖国政策の敷かれていた
当時の日本としては大変珍しく
貴重だった葡萄酒を茶の湯に巧みに
取り入れていました。
これは遠州公が歴代の長崎奉行との深い交流
があり、葡萄酒を手に入れやすい環境に
あったことが一つの要因のようです。
また黒田藩主忠之公に葡萄酒を贈った際の
添え状も残っています。
11月 12日 瓢(ふくべ)の炭斗
ご機嫌よろしゅうございます。
炉開きについては先週ご紹介しましたが、
炉開きの炭点法では、瓢(ふくべ)を
炭斗にしたものを使うことがあります。
瓢は夏にもお話しました通り、干瓢を
作る夕顔の実です。
秋の実りの頃にできるの瓢のもののうち、
すわりのよいものを選んで炭斗を作り、炭を入れます。
水分が多いことから、火に対する水の意味も
あり、炉開きの際に使われます。
遠州公の茶会記にも寛永三年の十月十五日
を初めに、瓢の炭斗が度々登場します。
本来はその都度新しいものを作るのですが
近年では肉の部分が薄く、なかなかふさわしいもの
ができません。
そこでご先代の宗慶宗匠は、瓢に漢詩や和歌を
書き付け、後々にも使えるよう工夫をなされました。
無表情だった瓢の炭斗に
雅の心が吹き込まれます。
瓢の炭斗を見ると、いよいよ炉を開けるのだ
と実感できます。
炉開きを彩るお道具の一つです。
11月 6日 口切(くちきり)
ご機嫌よろしゅうございます。
、
11月が茶の湯にとって大切な月である
ことの理由のもう一つが口切(くちきり)
にあります。
その年の八十八夜に摘まれた茶葉を詰めた
茶壷の口を切る時がいよいよやってきます。
他流派の口切の茶事ではお客様の前では
封印を手前から切り、壺の蓋を開け、向こう側に
落ちないように紙一枚のところで繋げて残す作法があるようですが、
武家である遠州流では、
その姿を嫌い、お客様の前では致しません。
この口切と炉開き
この二つの行事があって、11月は
一番正式な時期といわれているわけです。
11月 5日 亥の子餅と炉開き
ご機嫌よろしゅうございます。
昨日は遠州茶道宗家研修道場の「炉開き」について
ご紹介しました。
この「炉開き」で使用される菓子は例年「亥の子餅」が食べられています。
宮中では旧暦十月の初めの亥の日に亥の子餅を贈る
行事がありました。
猪は頭がよく、また多産なこともあり、子孫繁栄を願い
亥の子餅を供えました。
また亥は陰陽五行説で水の性質をもち
火災を逃れるとされるため、
「亥の月の亥の日から火を使い始めると安全」といわれ
この日に炬燵や火鉢など用意をする習慣がありました。
昔は炉開きはいつと定められた日ではなく
季節の状態に応じ行われてきました。
遠州公の師である古田織部は
庭に植えてある柏の葉が黄色になって、ひとひらふたひら
落ち始めた頃炉開きをしたそうです。
11月 4日 炉開き
ご機嫌よろしゅうございます。
本日は遠州茶道宗家にて「炉開き」が
行われます。
五月から十月まで閉じられていた「炉」の中に
いよいよ火が入り、本格的な冬の到来です。
この「炉開き」は、茶の湯では
無事に一年を迎えられたことに感謝する
お正月のようなおめでたい行事です。
お家元が宗家道場の炉三箇所に炭点法をして
炉中に鰹節、塩、洗米を巻き、門人揃って
柏手を打ちます。
その後お神酒を全員に配り、頂くのが
遠州茶道宗家研修道場の炉開きです。
この日、門人の皆さんも、初めて行う炉の稽古に
意気込みを持っていらっしゃっていますし、
お家元の炭点法を目の前で拝見し、感動と興奮が
冷めぬままお稽古が始まりますので
道場の空気もいつもとは異なり
明るく華やいだ、しかし気持ちの引き締まるような
一日となります。
10月 31日 瑞泉寺 茶会
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は鎌倉瑞泉寺において茶会が催されます。
この瑞泉寺は天龍寺の開山で有名な夢窓国師
によって、鎌倉時代末期の嘉暦二年(1327年)
に建てられました。
以後鎌倉公方の菩提寺として、鎌倉五山に次ぐ
十刹に数えられる格式あるお寺です。
夢窓国師は景勝地を選んで寺社を
建てたと言われる通り、ここ瑞泉寺も四季折々の
風景が素晴らしく、特にそろそろ色づき始める
紅葉とお寺との対比 は一幅の絵のような美しさです。
九時半よりお家元の献茶式、
十時より茶会が行われます。
秋の鎌倉を愛でに是非お越しください。
10月 28日 毘沙門茶会(びしゃもんちゃかい)
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は遠州茶道宗家のお膝元
神楽坂・毘沙門天で遠州流茶道の茶会が行われます。
神楽坂の毘沙門は今から200年ほど前のの火事により、
この地に移転してきました
これによって当初は殆ど武家屋敷だけだった神楽坂界隈に
お店や民家が増え、華やかな街になっていきました。
毘沙門天はサンスクリット語(インドの古語)で
「ビシュラバナ」と表記し、この音写が「ビシャモン」
になります。
「全てを聞く」という意味を表し、参詣者のお願いも
よくきいてくださるとのこと。
境内の素敵な眺めでお抹茶を楽しんだ後
毘沙門様にご祈願されてはいかがでしょうか?
また同日、ご宗家には各国のミスインターナショナルが
茶道をはじめとする日本文化の体験に来ています。
11月11日に東京で行われるミスインターナショナル世界大会では昨年に引き続き
御家元が審査員を務められます。
10月 26日 銀茶会(ぎんちゃかい)
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は銀座で「銀茶会」が行われます。
銀座の街そのものが野点の会場となる
という大胆な行事ですが、今年で13回目。
遠州流茶道をはじめ、表千家・裏千家など茶道五流派が
一堂に銀座の十数か所で野点を開催します。
「茶の湯」という一つの形のもとに
それを愛する人々が流儀を問わず銀座に集う
聞いただけでもなんだかワクワクするイベントです。
老舗の和菓子屋さんがこの日のために作る
和菓子も見所の一つ。
普段の街並みが今日は一味違った姿を見せる…
「銀座」のもう一つの顔をお楽しみ下さい。