10月 14日 (水)遠州流茶道の点法
「大名物(おおめいぶつ)」
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は大名物の茶入についてお話しします。
遠州流茶道では盆点法の中でも
大名物・中興名物の扱いの二種類があります。
大名物とは
「茶道具の位付の中で御物を含む
最高位の道具の称。
大名物の呼称が一般化するのは十八世紀末で、
それを定着させたのは松平不昧の『古今名物類聚』
である。
…遠州以後の名物である中興名物とそれ以前の
大名物の二種に名物を規定した。…
(角川茶道大辞典)」
とされていますが、識者によって見解は異なり、
範囲は明確ではありません。
しかい、遠州流点法に「大名物扱い」と「中興名物の扱い」がありますので、
その違いは遠州公の選定を一つの境にしていると考えられます。
大名物の茶入を使用する点法では
その扱いも通常の点法とは別格に扱われます。
10月 9日 (金)遠州公所縁の地を巡って
「品川林中茶屋」
ご機嫌よろしゅうございます。
寛永十五年(1638)、家光が大徳寺百五十三世
澤庵宗彭のために東海寺を建立します。
この建物のうち、客殿と数寄屋、そして庭園の造営
を遠州公が手がけました。
その庭は後世江戸第一の庭と絶賛されるものとなりました。
この東海寺には遠州公にまつわるもうひとつの
エピソードがあります。
寛永二十年(1643)三月十四日、将軍家光が
東海寺に御成になりました。
池には丸い島が三つ浮かび、その内の一つの島には
丸石が置かれ、そこから小さい松が一尺ほど
出ていました。
この石に名をつけよとの家光の命。
澤庵が「天の羽衣」「無心草」とお答えしても
将軍の意にかないません。
そこで遠州公が「万年石」と一声あげました。
品川御殿にある杉の大木を、家光が「千年杉」と
名付けていたことを踏まえての名でした。
将軍は大変お喜びになり、自分の着ていた羽織を
遠州公に与えたといわれています。
遠州公が手がけた建物や庭
現在ではその姿を目にすることはできませんが、
遠州公が寺に寄贈した天目茶碗(9月16日にご紹介)
が今も寺宝として伝えられています。
10月2日(金)遠州公所縁の地を巡って
「伊庭(いば)茶屋屋敷」
ご機嫌よろしゅうございます。
遠州公は水口城の他、現在の滋賀県東近江市伊庭町に
伊庭茶屋を作っています。
関ヶ原の戦いの後、慶長8年(1603)江戸幕府が開かれます。
依然として豊臣方の力が残存していたため、
将軍が江戸から上洛する際には
堅固な御茶屋風の宿泊所・護衛上の濠や土塁をめぐらした
城郭風の宿館が必要でした。
遠州公は命を受け、家光上洛の宿として
「伊庭御殿」を造営しました。
近年この地は現在「御殿地」と呼ばれていますが、
近くには民家もなく鬱蒼とした森になっていて
滅多に人が近づかない場所でした。
しかし、調査が進み「伊庭御茶屋御指図」(中井家所蔵)
と現況地形の一致から遠州公作と証明されました。
伊庭御殿は台所施設が広く取られている等の特徴があり、
将軍の休憩施設としての特徴を備えていました。
また他の茶屋のつくりは方形を基調としていますが
伊庭御殿は横に細長い不定形である点が特徴的です。
家光より後は、将軍上洛の必要がなくなったため、
御茶屋御殿は廃止されていきます。
現在、遺構としては、石垣の一部と井戸跡を
見ることができます。
9月 30日 (水) 遠州流茶道の点法
「相伴(しょうばん)」
ご機嫌よろしゅうございます。
お茶を頂く際の挨拶で、正客以外の客は
「お相伴させていただきます。」
と挨拶します。
「一緒に頂戴します。」といった意味合いで
使われますが、このお相伴という言葉はもともと
禅僧の日常の規則をまとめた、現存最古の清規である
「禅苑清規」から出た言葉で、主の伴をするという
意味からでており、茶の湯では正客以外のものを、
相伴といいます。
また、貴人に相伴の人が同席した場合、
貴人に天目で点てた後、普通の茶碗を持ち出し
相伴の人に飲み回しで点てます。
また、汲み切りといって、湯を汲む時に
過不足ない適量を汲んで茶碗に入れ
釜に湯を戻さないようにします。
これは再び貴人から茶の所望があった場合の為に
相伴用の湯を釜に戻すことは失礼に当たるという
配慮からです。
9月 14日 (月)鯖(さば)
ご機嫌よろしゅうございます。
二十四節気の白露も過ぎ、いよいよ
秋の気配の感じられる頃となってきました。
暑さで疲れのたまった体には、旬の野菜や魚を
いただくことで体に負担をかけず体力を
取り戻していくことができます。
鯖もこの時期美味しくなる食材の一つです。
今日は鯖に関係するお話をご紹介します。
「サバを読む」と昔から諺に使われますが、
この魚の鯖のことを指していることは
皆さんご存知でしょうか?
鯖は鮮度が落ちるのが早いため、水揚げされた鯖を
1匹、2匹と数えていてはせっかくの魚が腐ってしまいます。
そのため、大雑把に10匹、20匹とざっくり数える。
そこから数をいい加減に数える、ごまかすという
意味で使われるようになったのだとか。
そして今と違って冷蔵庫のない時代、
鮮度が落ちやすく、すぐ生臭くなってしまう鯖に
味噌で臭みを消して、濃い味付けで食べていたのが
おなじみの「鯖の味噌煮」の由来なのだそうです。
8月 21日(金)遠州公所縁の地を巡って
「仙洞御所」
ご機嫌よろしゅうございます。
寛永四年(1627)遠州公は後水尾天皇の
御所造営を拝命します。
しかし、御所が完成する前に天皇が突然退位され
七歳の皇女(明正天皇)に皇位を譲ります。
退位された後水尾天皇と東福門院お二人のために
仙洞御所、女院御所を作ります。
仙洞とは退位した天皇のお住まいを指す言葉です。
また寛永十一年(1634)遠州公は
仙洞御所の御庭泉石構造の奉行を拝命し
力を注ぎます。
これまでに例のない直線的な護岸をつくり
すっきりとした斬新な美しさを作り出しましたが、
現在の庭は度重なる改修で大きく姿を変えています。
静岡県・金谷のお茶の郷博物館では
仙洞御所の東庭を、造園当時のまま
再現しています。
現在は出島となっている部分も
当時のままの中島で作られており、
遠州公の作庭の特徴がよくわかります。
8月19日(水)遠州流茶道の点法
「長板(ながいた)」
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は長板をご紹介します。
長板は台子の天板を略して皆具
(風炉釜・水指・杓立・建水・蓋置)
などをのせる長方形の板のことを指します。
遠州流茶道では主に真塗の長板を
広間において使用します。
但し、天板が省略されているため、
名物扱い(棚に飾り付けをする等)
の点法は致しません。
正式には四ツ組(水指・杓立・建水・蓋置が
同種、主に唐銅)のもので行いますが、
大寄せの茶会などでは簡略し、風炉・蓋置
のみを飾り付けして、さらに水指・蓋置・建水
を、唐銅ではなく様々な陶器を用いることが
あります。
8月17日(月)阿波踊り(あわおどり)
踊る阿呆にみる阿呆
同じ阿呆なら踊らなそんそん
の囃子で有名な阿波踊り
今年は8月12日から15日にかけて開催されました。
阿波おどり(あわおどり)は
徳島県を発祥とする盆踊りで、日本三大盆踊りの一つに
数えられます。
約400年の歴史をもつこの徳島阿波踊り
天正14年(1586年)蜂須賀至鎮(はちすかよししげ)が
徳島城を築いたとき、祝杯を重ねた職人や町の人々が
「めでたや・めでたや」と踊り狂ったのが始まりとする
「蜂須賀入城起源説」などありますが
起源は諸説あり、いまだはっきりしていません。
江戸から明治時代の頃にかけて、
莫大な資産を築いた阿波の藍商人が
徳島の花柳界で型破りの豪遊をし、
全国から集まる商人の接待などにも阿波踊りを用いて
阿波踊りをより洗練されたものに育て上げたといいます。
江戸後期には厳しく取り締まれれ、
踊っていた武士が咎めを受け
幽閉されたこともあったそうです。
8月 14日(金) 遠州公所縁の地を巡って
「御香宮神社(ごこうのみやじんじゃ)」
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は「御香宮神社」について
ご紹介します。
御香宮神社は、遠州公の居宅であった
伏見奉行所の北側にありました。
境内から「香」の良い水が涌き出たことから
清和天皇より『』の名を賜った神社です。
遠州公が例祭に、参拝した時
「おそらくこれほど見事な椿は他にない」
とつぶやいたことで名付けられた
「おそらく椿」と呼ばれる
樹齢約400年の五色八重散椿があります。
伏見奉行所は幕末の戦火により被害を受け、
庭園も手水鉢は変色、石も表面が焼けるなどしました。
市営団地建設の際に、この遠州公が手がけた
奉行所の庭園の一部が見つかり、御香宮神社に
庭園の石を移して庭園が再現されました。
現在「遠州ゆかりの石庭」として親しまれています。
鶴亀式の枯山水で枯滝の三尊を連続させた石組、
書院手前には大きな手水鉢が配置されています。
8月 12日(水)遠州流茶道の点法
「台子について」
ご機嫌よろしゅうございます。
先週は台子の歴史についてご紹介しました。
現在通常のお稽古で行う点法はこの台子点法
を草体化したものといえます。
貴人へのお点法として行われ、
現在では神仏などへ献茶を行う際などに
この台子を用いて点法をします。
お家元は息がお茶にかからないよう
「へだて」をし、最も式正な形で献茶を行っています。
神社仏閣での献茶式や、遠州忌、許状式で
その点法を拝見したことがある方も多いでしょう。
遠州流茶道でも通常のお点法とは別に
台子特別稽古で、通常のお稽古で習った
薄茶から唐物の盆点までを台子で稽古します。
何年もお稽古をしていく中で、身についてしまった
くせや忘れてしまっていたことなどを
この台子の稽古を行うことで、改めて見直し
点法の乱れを直すことができます。