9月 9日 (水)遠州流茶道の点法
「中置(なかおき)」
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は九月九日、重陽の節句です。
宗家道場では着せ綿が床の間に飾られ
長寿を祝う設えを楽しみながらお稽古が
行われています。
そして少々早めですが今月から中置のお稽古が
始まります。
通常の位置より道具畳の中央に寄せて
風炉を置きます。
当流では、小間・広間どちらでも点法します。
尚この中置には二通りの点法があります。
一つは先月ご紹介した大板の上に小さい風炉・釜を
載せ、盛夏に行います。柄杓を勝手付に置きます。
こちらは四畳半切りでのみ行われるものです。
もう一つは名残の季節に大きな鉄の風炉を織部焼
などの敷瓦に載せて、水指を常とは逆に勝手付に
ニ・三目よせて点法します。
こちらはお客様に火を近く、水を遠くという
考えから生まれたと思われます。
いずれの点法でも、中置の場合には点前座が
狭くなることもあり、合柄杓といって
風炉の柄杓より柄が短いものを用います。
8月 12日(水)遠州流茶道の点法
「台子について」
ご機嫌よろしゅうございます。
先週は台子の歴史についてご紹介しました。
現在通常のお稽古で行う点法はこの台子点法
を草体化したものといえます。
貴人へのお点法として行われ、
現在では神仏などへ献茶を行う際などに
この台子を用いて点法をします。
お家元は息がお茶にかからないよう
「へだて」をし、最も式正な形で献茶を行っています。
神社仏閣での献茶式や、遠州忌、許状式で
その点法を拝見したことがある方も多いでしょう。
遠州流茶道でも通常のお点法とは別に
台子特別稽古で、通常のお稽古で習った
薄茶から唐物の盆点までを台子で稽古します。
何年もお稽古をしていく中で、身についてしまった
くせや忘れてしまっていたことなどを
この台子の稽古を行うことで、改めて見直し
点法の乱れを直すことができます。
6月 24日(水)遠州流茶道の点法
「名水点(めいすいだて)」
ご機嫌よろしゅうございます。
梅雨があけるといよいよ夏本番。
暑さも厳しくなってきますね。
今日は通常のお稽古としては
あまり致しませんが、
お招きを受けた時に役立つ心得として
知っておきたい、「名水点」についてご紹介します。
いわゆる名水と呼ばれる水を用意した際
名水点というお点法でお茶をお点することがあります。
おいしいお茶を点てるためには、
おいしい水が必要。
昔から名水と名高い水が茶の湯のために求められ、
使われてきました。
京都では盆地という地形故に地下水も豊富で
醒ヶ井など有名な名水がいくつも存在しました。
大体夏に行われることが多いお点法で
その際には水指に葉蓋をして、名水点ということが
最初からわかるようにします。
お客様は心得として、お茶をいただいた後
「今一服如何ですか?」
と尋ねられたら
「お茶は十分頂戴しました。
お白湯をお願い致します。」
と、お白湯を所望します。
せっかくご用意いただいた名水ですので
そちらをいただくことが、お客様の礼儀というわけです。
6月17日(水)遠州流茶道の点法
「茶碗披き(ちゃわんびらき)」
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は茶碗披きについてご紹介致します。
亭主が拝領した茶碗や名物茶碗を手に入れ
初めてお客様に茶碗をお披露目する際に
されるお点法がこの「茶碗披き」です。
通常の点法では、茶碗は他の道具に比べ
拝見にだす機会が少ないかと思います。
このお点法での主役は茶碗ですので、
通常とは逆に、席入りの時から予め茶碗を飾り付けて
茶入を持ち出して点法を始めます。
また通常の濃茶の点法の最中であっても、
お客様から所望があれば、途中から
「茶碗披き」の仕舞いにしていき、
自分で茶碗を清め拝見に出すことが出来ます。
その場合は水屋に下がった際に、
仕舞い込み茶碗を用意し、茶道口に置きます。
風炉の場合は、席入り前の柄杓の飾り付けも特殊で
華やかな印象のお点法です。