宗家道場の床の間拝見

2017-2-6 UP

2月

2月6日 (月) 宗家道場の床の間拝見

ご機嫌よろしゅうございます。

立春も過ぎ、冬の間張り詰めていた氷を
春の風が解かしはじめます。
宗家道場の床の間も、新しい季節を感じさせてくれます。

床 紅心宗慶宗匠筆 松竹梅絵賛 三幅対
松無古今色 竹上下有節 柳緑花紅

花 曙椿 蝋梅
花入 染付高砂

こちらの掛物はご先代がおかきになられた三幅対です。
「松に古今の色無し」「竹に上下の節有り」は対句で
松は常に青々として常住不変の一方、竹の節は差別(区別)
の存在を表します
「柳は緑、花は紅」は、自然のあらゆるものがそのままで
真実を具現している様を表しています。
三幅対は、これらの禅語の松、竹、柳の部分を絵で、
他を文字で書いています。
花入は高砂。新春にふさわしい花入です。昨年の2月の
メールマガジンで、能「高砂」と花入についてご紹介しました。
こちらもご参照ください。

「早蕨」

2017-2-3 UP

2月 3日 (金)茶の湯と文様
「早蕨」

ご機嫌よろしゅうございます。
厳しい寒さの中芽をだす早蕨は、私達に
待ち望んだ春の到来を教えてくれます。

蕨は常緑性のシダ植物で日当たりのよい
山地に生え,早春先端がこぶし状に巻いた新芽が
地下の根茎上から直立して生えてきます。
これを山菜として食用に、また根茎から蕨粉を
とり、わらび餅などにつかわれます。

先端がくるくると巻かれたその独特な形は
土器や古墳にも描かれ、万葉の頃から春を告げる
植物として歌われてきました。

茶道具の中では、
桃山時代の「黒織部蕨文茶碗」があります。
五本の蕨が上に向かうシンプルなデザインですが、
力強い芽吹きを感じさせます。
また釜の鐶付にも早蕨をモチーフとしたものが
よく見受けられます。

またその景色に蕨の姿を感じ取って「さわらび」の
銘をつけられた魚斗屋茶碗が東京国立博物館に所蔵されています。
五世宗香政峯公が源実朝の歌集である「金塊和歌集」から

さわらびのもえいづる春に成りぬれば
のべのかすみもたなびきにけり

の歌より命銘したと言われています。

1月 30日 (月)来月の行事 

2017-1-30 UP

1月 30日 (月)来月の行事 

豊かなる常磐の松の若緑
なお立ちそはむ春ぞ久しき

この詠歌は寛永5年(1628)
遠州公五十四歳の時にの消息文の
中に「御夢想 三日立春」と題して詠まれた歌です。
2017年の立春は2月4日です。

さて、来月、2月25日(土)遠州茶道宗家では
菅原道真公を祀る「御自影天神供養茶会」が
催されます。
このお茶会では床の間に菅原道真公の御自影の軸が
かけられます。
これは遠州公が信仰されていた天神様の御自影に、
大徳寺156世江月宗玩が賛をなされた一軸で、
永く小堀家に伝来し、毎年2月25日に
ご供養しています。

読経の終わる頃にはその頬が赤く染まるという
伝説のある、霊験あらたかな天神様です。

引き続き催される茶会には遠州公ゆかりの茶道具が
用いられます。

落語の中の茶の湯

2017-1-23 UP

1月 23日(月) 落語の中の茶の湯

ご機嫌よろしゅうございます。
新春には初笑いを求める人々で
寄席が活気づきます。

今日は落語の祖といわれる安楽庵策伝について
ご紹介致します。

誓願寺法主でった安楽庵策伝は
遠州公とも交流のあった人物でした。
遠州公の伝書をもとに茶書「草人木」の
編集にも関わっています。

策伝は庶民に仏の教えを優しく
楽しく説くため、いわゆる「落し噺」を
高座で演じて布教しました。
この話をまとめ、板倉重宗京都所司代の求めに
応じて献呈した笑話集が「醒睡笑」です。
うつけ・文字知顔・堕落僧・上戸・うそつきなど、
多様な庶民の登場人物がつくる、豊かな笑いの世界。
のちの落語、近世笑話集や小咄集に大きな影響を与えました。

この「醒睡笑」は8巻からなり、全1039話の滑稽話
が収められています。
その中に今日でも演じられる「子ほめ」「無筆の犬」
「かぼちゃ屋」「平林」「星とり竿」など、
現在に語り伝えられている落語の元ネタとなった話がみられます。

「鶴」

2017-1-20 UP

1月 20日(金)茶の湯にみる文様
「鶴」

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は日本に馴染み深い鳥「鶴」の文様を
ご紹介します。

会席においては江戸時代、高級食材として珍重
されていました。また将軍自ら「鶴御成」という
狩で捕った鶴を京都御所へ献上し、正月に登城した
諸大名に吸い物として賜りました。

「鶴は千年、亀は万年」などと言われるように
亀と共に長寿の象徴とされている動物で、
中国では古くから仙人の鳥、仙禽とされ
松や霊芝などとともに吉祥文様として描かれていました。

鶴の型押し白象嵌文様の青磁は「雲鶴」と呼ばれます。
高麗末期の筒茶碗を「古雲鶴」とよび、
李朝中期に茶人が注文し釜山の倭館窯で焼かれたたものは
「御本雲鶴」と呼んで区別します。

野村美術館所蔵の中興名物「御本立鶴茶碗」は、
寛永十六年(1639)、将軍家の大福茶のために制作されたもので
3代将軍家光が下絵した立鶴を中央に
描き、遠州公が切形をもって釜山の窯に注文したといわれているのです。

2017-1-16 UP

1月 16日(月)

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は宗家のお正月にいただくお菓子
「紅白饅頭」をご紹介致します。
お客様のいらっしゃる頃合いを見計らって
温めた小ぶりの紅と白のお饅頭に、
口取りを添えてお出しします。
銘々皿は今年の干支とお家元の焼印が押され
新しいへぎの杉が清々しく映ります。

こちらは新大久保にある源太萬永堂製。
源太の名は主人の本名の源田と同じ音で、
歌舞伎などで知られている「悪源太」から
戸川宗積先生がつけられました。
「剛勇で知られた源義平のあだ名である悪源太
その上、源が太っていくという漢字から縁起も
良い」と選ばれた屋号です。
更にお目出度い「萬永堂」とご先代が名付け、
揮毫された扁額がお店に掲げられています。

本年は宗家道場のお稽古でいただく源太製のお菓子を
毎月ご紹介する予定です。
どうぞお楽しみに。

茶の湯にみられる文様

2017-1-14 UP

1月 14日(土)茶の湯にみられる文様
「梅」
ご機嫌よろしゅうございます。

本日は「梅」をご紹介します。
新しい年を迎え、他のどの花よりも早く花を咲かせる
ことから梅は「百花の魁」とも言われます。

梅が初めて文献に登場するのは天平勝宝三年(751)
に成った漢詩集「懐風藻(かいふうそう)」所収
葛野王(かどのおおきみ)の五言詩「春日鶯梅翫(かすがおうばいをはやす)」
で、梅に鶯の組み合わせで歌われます。

もとは弥生時時代に稲作と共に薬用として中国から
伝わりますが、その美しさに加え、香り高い梅の花は
やがて貴族の間で愛でられる花となっていきます
画題としても多く描かれ、茶の湯においても様々な道具に
描かれ、目にすることも多いことと思います。
裂地としては利休が好んだ利休緞子や
大名物「唐物丸壷茶入 利休丸壷」の仕覆に「藤種緞子」
など他たくさんあります。
香合では利休所持「利休形溢梅蒔絵香合」が有名です。

宗家の正月

2017-1-9 UP

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1月9日(月)宗家の正月

ご機嫌よろしゅうございます。

宗家の正月三ヶ日は多くのお客様がご挨拶に見えられます。
元旦は歌舞伎役者が顔を見せ、
二日には遠州流職方・向栄会の会員が集まり、御家元に御挨拶し、
お屠蘇を一同で頂き、その後、茶席に移動してお茶を頂きました。
お茶を頂いた後は、直入舎において祝膳を頂くのが恒例となっています。

広間対酌亭は今年の御題「野」にちなんだ道具組
掛物は、遠州公が沢庵に当てた手紙
花入は御家元が竹林でお探しになり作られた青竹
香合も野をイメージさせる深緑の瓢箪形に鳳凰の絵
他詳しくは点初めをお楽しみに。

さて、明日から正月恒例の行事
「稽古照今 点初め」が6日間に渡って行われます。

宗家では、お家元御家族をはじめ、遠州流茶道門人
総出で皆様をお迎えする準備の真っ最中です。
皆様当日楽しみにお越しくださいませ。

新年のご挨拶

2017-1-2 UP

1月 2日(月)新年のご挨拶

皆様明けましておめでとうございます。
本年も茶の湯を通じて心を豊かに
更なる精進を致して参ります。

本年は酉年
酉は鶏のことを指します。
十二支を決めるために神様の御殿に向かっていた際、
猿と犬が喧嘩しながら向かっていました。
間に鶏が仲介に入り、何とか御殿までたどり着きました。
その為、猿と犬に挟まれているのだそうです。
またそこから『犬猿の仲』という言葉が生まれました。

さて、鶏にちなんだ道具としては
南宋時代末期の蘿窓(らそう)画「竹鶏図」が有名です。
日本でも馴染みのある動物で古くから画題として
多く取り上げられてきました。
他に、遠州公所持で鶏をかたどった
「宋胡録鶏香炉」
また祥瑞の茶碗や水指には「家鶏図」が描かれているものも数多くあります。
遠州公のお好みとして、
鳥差瓢箪や瑠璃雀の香合など鳥にちなんだものが知られています。