2016-2-1 UP

2月1日(月) 向栄亭の床の間拝見

 

ご機嫌よろしゅうございます。

今日から二月、そして二月の四日は 立春です。

寒さは依然として厳しいですが そろそろ春の気配を感じられる頃になりました。

さて、今日は二月の宗家稽古場の床の間をご紹介します。

床  紅心宗慶宗匠筆 柳緑花紅(やなぎはみどり はなはくれない)

花  加茂本阿弥椿 木五倍子(かもほんなみつばき きぶし)

花入 志戸呂 鶴首

床の間の掛け物の言葉は 中国北宋時代の政治家であり詩人である

蘇東坡(そとうば)の「花紅柳緑真面目」 花は紅(くれない)柳は緑(みどり) 真面目(しんめんもく)

という言葉に由来するものです。

花は紅、柳は緑、このあたりまえのことが、

とりもなおさず真理の実相である

自然のあらゆるものがそのままで 真実を具現しているといっています

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1月29日(金)能と茶の湯

2016-1-29 UP

1月29日(金)能と茶の湯
「翁」

ご機嫌よろしゅうございます。

新年を迎えると、「翁」とよばれる演目が
必ず各地の能舞台で演じられます。
「翁」は能の中でも神能の特殊な演目で
「能にして、能にあらず」と言われ
霊的な力を授けられた”神の使い”である翁の舞は、
国家安静、五穀豊穣を祝う神事とされています。

「とうとうたらりたらりら
たらりあがりららりとう…」

という謡にはじまり、舞の間に翁が翁面を
つけるのですが、観客の前で演者が面をつけるのは
この曲だけ、この面をつけることにより
翁は神格を得ます。

遠州公がこの「翁」にちなんで銘をつけた
茶入があります。「大正名器鑑」には
「作行の古雅なる、黄釉のなだれの物寂びたる
人をして翁の面に対する想いあらしむ」
と記されています。

瀬戸破風窯のその茶入には挽家蓋・内箱蓋・仕覆蓋
の書付を遠州公自らしており、愛蔵ぶりが伺えます。

1月 25日 (月)君がため…

2016-1-25 UP

1月 25日 (月)君がため…

ご機嫌よろしゅうございます。
今日はこの季節にちなんだ和歌をご紹介します。

君がため 春の野に出でて 若菜摘む

我が衣手に 雪は降りつつ

あなたにさしあげるため、
春の野原に出かけて
若菜を摘んでいる私の着物の袖に、
雪がしきりに降りかかってくる。

光孝天皇がまだ時康親王だった若い頃、
大切な人の長寿を願い春の野草を贈った際
添えた歌です。
昔から、新春に若菜を食べると邪気を払う
ことができると考えられてきました。
現在でも、1月7日に「七草粥」を
いただく習慣が残っています。

1月 22日(金)能と茶の湯

2016-1-22 UP

1月 22日(金)能と茶の湯
「利休と能」

ご機嫌よろしゅうございます。

侘び茶の大成者である千利休は、
大変能が好きで、勧進能といわれる
能の興行ごとに足を運び、宮王道三・三郎
兄弟の能楽師の楽屋をときおり訪ねていた
といいます。
また、この三郎には宗恩という妻がおり、
利休の様々な質問にも明朗な回答をする
聡明な女性でした。

利休は謡曲をこの兄の道三に学び、道三は
利休に茶を学ぶ大変親しい間柄であったことも
あってか、
天正九年(1581)に利休の先妻が
亡くなった翌年、三郎を亡くしていた宗恩と
利休は道三を親がわりとして結婚しています。

また利休には実子道安がいますが、
三郎と宗恩との間にできた息子道安と同い年の
少庵を養子とします。
この少庵が千家第二代であり、三代目は
少庵と利休の娘お亀との間に生まれた宗旦です。

この宗旦と遠州公は同い年になります。

1月18日(月)お稽古場の風景

2016-1-18 UP

1月18日(月)お稽古場の風景

ご機嫌よろしゅうございます。
今年の点初めも無事に皆様をお迎えし
宗家道場では本年初の稽古が始まりました。

床の間を拝見し、お稽古の支度
新年を寿ぐ清々しい道具組に
気持ちも自然と引き締しまります。

そんな宗家道場の稽古場の様子をお伝えします。

床  紅心宗慶宗匠筆 千年丹頂鶴
花  曙椿 白梅
花入 青磁 鳳凰耳

掛け物の「千年丹頂鶴」は「万年緑毛亀」
(まんねんりょくもうのかめ)
と対句になります。
「鶴は千年、亀は万年」という言葉も
ありますように、鶴と亀は共に長寿と福寿を
象徴するものです。
新年や慶事の際に掛けられる、
祝慶を尽くした語です。
千年丹長鶴

1月 15日(金)茶の湯と伝統芸能

2016-1-15 UP

1月 15日(金)茶の湯と伝統芸能
「能について」

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は能と茶の湯についてのお話を
して行きたいと思います。

庶民の芸能から昇華され、室町時代には
足利将軍家の力を得て社会的地位を獲得した能

そして、同じく室町時代に侘び茶が大成し
権力者の支持を得て発展した茶の湯
江戸時代には、能・茶の湯共に武家社会の
嗜みとしての地位を確立していった歴史があります。

またその精神性においても
村田珠光の言葉に「月も雲間のなきは嫌にて候」
とあるのを、室町後期の能役者・金春禅鳳が
「珠光の物語とて、月も雲間のなきは嫌にて候。
これ面白く候」
と語っているように
茶の湯の「侘び」と能の「幽玄」の世界には
相通ずる点が多くあります。

そういった面からも茶の湯の道具には、
能に由来する銘が多く見受けられるのです。

能の銘がつけられることによって、
一つ一つの能の世界が茶の湯に広がります。

1月 8日 (金)茶の湯と伝統芸能

2016-1-8 UP

1月 8日 (金)茶の湯と伝統芸能

ご機嫌よろしゅうございます。
先日6日は二十四節気の小寒にあたりました。
この小寒から節分までが「寒の内」と
呼ばれ、厳しい寒さの始まりです。

さて、本年から能・狂言について
毎週金曜日にご紹介する予定でおりますが、
茶の湯と能、花などの芸能は同時代に
昇華された芸能と考えられています。
遠州公も茶道具の銘に和歌を用いた歌銘を
つけたことはよく知られていますが、
和歌だけでなく、能や狂言からも銘を
つけている道具が多くみられます。

今年の前半では能・狂言の演目をご紹介しながら
所縁の茶道具をいくつかご紹介していきます。
後半では落語の中に登場する茶の湯を
ご紹介します。
落語の祖とされる安楽庵策伝は遠州公とも
所縁の深い人物です。
近世、茶の湯が人々にどう親しまれていたのか
その笑の中に見えてくるのではないかと思います。

1月 1日(金)元旦

2016-1-1 UP

1月 1日(金)元旦

皆様
明けましておめでとうございます。
本年も遠州流茶道の精神である
「茶の湯を通して心を豊かに」を胸に、
日々の生活に茶の湯の心を取り入れ
ていきたいと思います。

本年は宗実御家元の華甲の年に当たり
遠州流茶道にとっても大変重要な一年間と
なります。
9月17日のお家元の誕生日 には記念の大茶会がと祝賀会行われます。
全国の門人一丸となって
関連行事に取り組み、盛り上げていきましょう。

さて、本年から毎週月曜日は季節の便り、
金曜日は伝統芸能と茶道をテーマに
主に能・狂言・落語について、
ご紹介していく予定です。
本年もメールマガジン「綺麗さびの日々」を
よろしくお願いいたします。