9月 7日 (月) 重陽(ちょうよう)の文
ご機嫌よろしゅうございます。
9月9日は重陽の節句です。
この重陽の節句については昨年
ご紹介しましたが、陽の一番大きい数である
9が重なり、おめでたいとされ、宮中でも
観菊の宴などが行われていました。
宗家では着せ綿を作り、親しい方にお贈りしています。
今日は大徳寺の江月禅師が遠州公にあてて贈った
重陽の偈をご紹介します。
九日重陽 籬在東 南山々下 興無窮
枝々洗出 蒲城雨 白菊白而 紅菊紅
毎年重陽を迎え、庭前の東にある籬には
白い菊は白く、また紅菊は紅に
相変わることなく咲いている
という意味の偈で、重陽の日に庭先に
紅白の菊が変わらず咲いている
今年も無事にその菊を愛でることが
出来る喜びを祝い、長寿を願う気持ちが
伝わってきます。
9月 4日(金)遠州公所縁の地を巡って
「 南禅寺大方丈 虎の児渡しの庭」
ご機嫌よろしゅうございます。
各地の寺社などでは、その庭を
「遠州作と伝えられています」
と解説されていることが多く見受けられます。
その全ての真偽は定かではありませんが、
それだけ遠州公の当時の影響が強かった
ことがわかります。
そのような「伝遠州作」の庭の中で、
この南禅寺は、残された文献等から遠州公作
と確認できる数少ない作品の一つです。
借景、遠近法、大刈込といった、三次元的な技法を駆使し、
別名「虎の子渡し」と呼ばれ,左端の大きな親虎と
その横の小さな虎の子とが瀬を渡る様子を表すと
いわれています。
中国の説話では、虎の児は三頭いれば、一頭は獰猛で、
他の児虎を食べてしまうそうです。
そのため母虎は川を渡るとき、まず獰猛な児虎を
最初に向こう岸に渡して引き返し、次の一頭を連れて
渡ります。そしてまた獰猛な児虎を連れて戻り、
三頭目の虎を連れてまた川を渡ります。
そしてまた引き返して、最後に獰猛な児虎を再び連れて
渡るのだそうです。
母虎の子を児を想う気持ちが表れた
優しく雅雅な印象の庭園です。
9月 2日(水)遠州流茶道の点法
名残(なごり)
ご機嫌よろしゅうございます。
昨年もご紹介しましたが
名残のお茶は本来、口切で開いた茶壺の茶が
残り少なくなったことを惜しむもので
そのお茶を客様に振る舞うのが名残の茶事です。
また風炉の最後で、時候も秋めいてくる頃
過ぎ行く季節を名残惜しむという意味でも
使われます。
その哀愁の気持ちを表すように、道具組では、
たとえ茶碗ににゅうがはいっていたり、
呼び継ぎのあるものでも愛おしく使用します。
趣のあるやつれた大振りな鉄の風炉など
日頃は用いるのも控えめにした
どこか風情のある、ひえ枯れた道具を用いて
この時期ならではの茶の湯を楽しみます。
また花も、風炉の季節の最後
力いっぱいに咲く残花を侘びた花入に入れます。