12月 31日 除夜釜
ご機嫌よろしゅうございます。
いよいよ今年も今日で最後となりました。
宗家の大晦日は例年、除夜釜が行われ
今年一年締めくくりの茶となります。
寄付きでは24日にご紹介した出来立ての
柔らかい甘みの蕎麦がきが振舞われ、
小間・成趣庵ではお家元自らお客様に
濃茶を練ってもてなしてくださいます。
この炉中の火は、埋み火(うづみび)といって
年を越すまで火をつなぐため、炭に灰を
かけておきます。
そしてこの火を、年が改まった翌朝
初炭で釜を掛け直します。
遠州流茶道の宗家で代々守られてきた
暮れから正月の厳粛で、神秘的な行事です。
さて、このメールマガジンも今年元日より始まり、
毎日配信を続け、無事大晦日まで迎えることができました。
ご愛読ありがとうございます。
来年も引き続きまして、
皆様に更なる茶の湯の魅力、
遠州流茶道の魅力をお伝えしていければ
と思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
12月 30日 大津馬(おおつうま)
ご機嫌よろしゅうございます。
宗家の除夜釜では例年、
寄付の床に飾られる掛物があります。
何ゆゑかおもに
おほ津のうまれきて
なれもうき世か我もうきよに
という歌とともに描かれた大津馬。
大津馬とは大津の宿駅で、荷物の運送に使われていた
馬の事をいいます。
12月11日にご紹介した沢庵和尚が配流の前に、
江戸に呼ばれて東下りする途中に
詠んだ和歌といわれており、
その歌意を汲んで、松花堂昭乗が「大津馬」
を描いたとされる絵が、
根津美術館に残っています。
この寄付に掛けられる大津馬はその絵の
宗中公の写しです。
この馬を眺めていると
一年の時の流れと人の一生、
そんなことをふと考えてしまうような気がします。
今年の干支は午(うま)でした。
皆様の今年一年はどんな年でしたでしょうか?
明日はいよいよ大晦日です。
12月 29日 大応国師(だいおうおくし)
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は南浦紹明(大応国師)のご命日にあたります。
南浦紹明は25才の時に、中国の唐に渡って
9月4日にご紹介した虚堂智愚に禅を学び、
帰国の際、台子を日本に持ち帰った
といわれています。
大応国師の弟子・宗峰妙超(大燈国師)が
京都の大徳寺を開山します。
そしてこの弟子が関山慧元といって、
禅宗にとってこの師弟の流れが大変重要な意味を
もつことからそれぞれの三文字をとって
「応燈関」といわれています。
中国から帰って「妙勝寺」でその教えを弟子たちに
伝え、晩年ここで暮らしました。
その後酷く荒廃してしまったこの寺を
大応国師を尊敬する一休禅師が、
長い年月をかけて修復をし、「報恩庵」
(国師の恩に報いる)として
自らも住まわれました。
12月 28日 益田鈍翁(ますだどんのう)
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は近代の実業家であり茶人であった
益田鈍翁の命日にあたります。
幕末の佐渡の幕臣の家に生まれますが
上京して大蔵省に入省します。
後、三井物産を創業。
茶の湯は不白流川上宗順に学び、
大師会・光悦会などの大茶会を催すなど
茶道復興に大きく寄与しました。
鈍翁の有名なエピソードとしては、
佐竹本三十六歌仙があります。
戦後、高額すぎて一人では購入できなくなっていた
佐竹本三十六歌仙の絵巻物。海外流出を恐れ、
鈍翁の発案で、三十六枚に切断し、
それぞれクジで入手者が決められました。
斎宮女御が欲しかった鈍翁ですが、クジで当たったのは
人気が低い僧侶の絵。
鈍翁は大変不機嫌になり、斎宮の当たった人物が
「交換致しましょう。」と声をかけ、
大変満足されたというお話しも残っています。
12月 27日 鐘聲(かねのこえ)
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は遠州蔵帳所載の茶入ではなく
先々代から当代のお家元まで、
大晦日の除夜釜で使用している
「鐘聲(かねのこえ)」という銘の茶入を
ご紹介します。
大正12年震災により、稽古中水屋に置いてあった
一つの茶入が割れてしまいました。
当時は稽古道具というものはなく、お弟子さんが
お稽古をする際にも小堀家に伝わる、歴史ある
道具が使われていました。
その茶入も利休が好んだとされる利休瀬戸。
それが見事に割れてしまったのです。
先々代の宗明宗匠は、その茶入の破片を丁寧に
つなぎ合わせ、歌銘を添えました。
百八の煩悩くだく鐘の音に
鬼もすみかにたちかへるらむ
壊れたことで、逆に道具に新しい命が吹き込まれ
以後、除夜の鐘が打たれる年の瀬に、
この茶入が用いられるようになりました
12月26日 御用納め(ごようおさめ)
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は今年最後のお仕事に向かわれている方も
多いのではないかと思います。
この日を「仕事納め」とか「御用納め」
などといい、官公庁では、
行政機関に関する法律により、
二十九日から一月三日を休日としていて
民間の企業もこれに準じでお休みとしている
ところが多いようです。
今年のように二十八日が日曜だと
二十六日の今日が御用納め。
今年一年
お仕事お疲れ様でした。
まだまだお仕事が続く方、
あともう少し頑張りましょう。
12月25日 今日は何の日?
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は12月25日。
イエスキリストの誕生を祝う降誕祭は、
もはやすっかり日本に根付いた
一大イベントになりました。
しかし今日はもう一つ、
「終い天神(しまいてんじん)」
という日でもあります。
学問の神様である菅原道真公は、
誕生が6月25日、逝去が2月25日で、
毎月25日はご縁日とされています。
京都の北野天満宮では、この今年最後の25日
終い天神が、一年を締めくくる恒例神事として
全国から参詣者が訪れます。
正月も近いこの日には荒巻鮭や注連(しめ)飾り
の露店も多く出て賑わうようです。
12月 24
ご機嫌よろしゅうございます。
いよいよ今年も残すところあと一週間と なりました。
大晦日の年越しに欠かせないものといえば、 年越し蕎麦。
この風習は江戸時代から定着したといわれています。
蕎麦のように、“細く長く”ということから
「健康長寿」「家運長命」などの縁起をかついで
また他の麺類よりも切れやすいことから
「今年一年の災厄を断ち切る」ということから
食べられるようになったという説もあります。
また年末の茶の湯の菓子としては、蕎麦饅頭が出されたり、
宗家の除夜釜では、蕎麦粉を練って茹でたものに
温かい餡をのせて頂く「蕎麦がき」が振舞われます。
お客様の到着にあわせて茹で上げられる
この蕎麦がき。蕎麦と餡の優しい甘みは絶妙です。
この蕎麦がきをいただきながら
一年を振り返り、年の瀬を迎える喜びが
じわじわと湧いてきます。
12月 23日 天皇誕生日
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は12月23日
祝日です。
奈良時代から戦前は天皇を神とし、「天長節」
という名称で、誕生日をお祝いしました。
戦後、天皇は「日本国民統合の象徴」
という新しい意味を持つようになり
国民と天皇との距離を縮めることを目的とした日として
「天皇誕生日」が設けられました。
さて、今年の祝日も今日で終わり。
来年は元日が新年最初の祝日になります。
2007年から15の祝日が日本に定まり、
これは先進国では最多なのだとか。
働き者の日本のイメージとしては
ちょっと意外な気もします。
2016年には8月11日が山の日として
更に祝日が増えることが決まっています。
12月22日 今日は19年に一度の特別な日です
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は冬至(とうじ)。
そして旧暦の11月1日。
この11月1日が冬至にあたることを
朔旦冬至(さくたんとうじ)と言って、
19年ごとに1度巡ってくる大変おめでたい日として
宮中などでは祝宴が行われていました。
旧暦は月の満ち欠けにより作られていて
月の始まりが新月に当たります。
一方、冬至は一年で最も日が短い日。
この日を境に日の長さは徐々に長くなっていきます。
「朔」は新月、「旦」は朝や夜明け、
つまり太陽が昇ってくるときという意味なので
このような太陽が復活するおめでたい日と
月が復活するおめでたい日が重なるのが
「朔旦冬至」というわけです。
次回の朔旦冬至は2033年です。