3月24日(金)茶の湯に見られる文様「蝶」

2017-3-24 UP

ご機嫌よろしゅうございます。
菜花畑をひらひらと舞うモンシロチョウ
春の穏やかな景色です。
蝶は秋草や牡丹など様々な組み合わせで描かれます。
また平安時代以降、浄土信仰が盛んになると
蝶は鳥と共に、浄土の使者としても描かれます。
その儚い美しさ、空を舞う様子は死者の霊魂を連想させ、
古代ギリシャではプシュケ(霊魂)と表されていました。
その「死」の象徴を「不滅」の印として戦国の武将は、
その蝶を兜や家紋に使用したと言います。

型物香合番付西前頭三枚目「荘子香合」と呼ばれる香合は、
菱形の染付香合の甲部分に蝶が描かれています。
名前になっている「荘子」とは、
「荘周」であり紀元前4世紀後半の中国戦国時代の思想家
道家思想の大家です。
その「荘子」斉物論編に「胡蝶の夢」というお話があります。
昔者荘周夢為胡蝶。栩栩然胡蝶也。自喩適志与。
不知周也。俄然覚、則蘧蘧然周也。
不知周之夢為胡蝶与、胡蝶之夢為周与。
周与胡蝶、則必有分矣。此之謂物化。
ある日荘周が胡蝶になった夢をみます。
自分が夢の中で蝶になったのか、それとも夢の中で
蝶が自分になったのか、自分と蝶との見定めが
つかなくなったというお話。
このお話から香合の名がついています。

また裂地に見られる蝶
小羽のある虫文は大抵は蝶と呼んでいます。
中国では清代になると蝶が宝尽し文の中にも現れ
アゲハ蝶のような羽に文様のある蝶が現れます。