鐘聲(かねのこえ)
2014-12-27 UP
12月 27日 鐘聲(かねのこえ)
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は遠州蔵帳所載の茶入ではなく
先々代から当代のお家元まで、
大晦日の除夜釜で使用している
「鐘聲(かねのこえ)」という銘の茶入を
ご紹介します。
大正12年震災により、稽古中水屋に置いてあった
一つの茶入が割れてしまいました。
当時は稽古道具というものはなく、お弟子さんが
お稽古をする際にも小堀家に伝わる、歴史ある
道具が使われていました。
その茶入も利休が好んだとされる利休瀬戸。
それが見事に割れてしまったのです。
先々代の宗明宗匠は、その茶入の破片を丁寧に
つなぎ合わせ、歌銘を添えました。
百八の煩悩くだく鐘の音に
鬼もすみかにたちかへるらむ
壊れたことで、逆に道具に新しい命が吹き込まれ
以後、除夜の鐘が打たれる年の瀬に、
この茶入が用いられるようになりました