東海道旅日記「矢橋の舟」
2020-10-9 UP
大津に向かうため、湖上を船で進みます。
江戸時代、
「 瀬田へ回れば三里の回り、ござれ矢橋の舟に乗ろ 」
と、歌われたように、大津へは瀬田橋を経由する陸路より舟の方が早いので、舟渡を利用する人が多かったようです。
(八橋からは多くの船が行き来し、その様子は近江八景の矢橋の帰帆として、有名でした。)
遠州一行は舟上から比叡山、唐崎の松を眺めつつ、
故郷近江に想いを馳せたことでしょう。
後年遠州公が大徳寺に創建した孤篷庵の茶室「忘筌」
から露地を眺めると、舟上からこの湖上の眺めをみる
ような「舟入の構成」になっており、露地の風景を
室内に縁どってみせる遠州公の非凡な才能が発揮されています。
ゴール目前。自然と心も軽くなり、一夜を語り明かした様子が記され遠州公の喜びが伝わってきます。
10月4日はいよいよ旅の最終日です。