東海道旅日記「下りの記」その手は桑名の…

2021-7-16 UP

三重県桑名といえば、蛤の名産地です。

揖斐(いび)川、長良川、木曽川が伊勢湾に流れ込み、

川の水と伊勢湾の水が混じり合って

栄養豊富な水域となるため、

濃厚な旨味を持つ美味しい蛤が育ちます。

かつては殻付きの枯れた松葉や松笠を燃やしながら、

蛤を焼いたようです。

この焼き蛤は名物として、

伊勢参りに訪れた人々から全国にその名が

知れ渡ったと言われています。

この桑名の地名と蛤を合わせて

「その手は桑名の焼き蛤」

という洒落言葉が、江戸時代には

すでに使われていました。

やじさんきたさんの珍道中『東海道中膝栗毛』

のなかでも、二人が桑名でこの焼き蛤を肴に

酒を楽しんでいる様子が描かれています。

ちなみに、蛤の旬は春先のようですが、

桑名のはまぐりの旬は初夏から夏場の8月頃にかけて、

今がちょうど美味しい時期です。