[東海道旅日記」 庄野でのやりとり

2020-8-21 UP

庄野のあたりにやってきた遠州公一行。
ここでは供の者が、名物のやき米にかけて

ひだるさに行事かたき いしやくし
  なにとしやうのゝ やき米を喰 

と歌を詠み、
「しもびとのうたには よしや あしや」と
遠州公の評価が記されています。
「伊勢物語」の33段(こもり江)をみますと
津の国、菟原の郡(現在の兵庫県芦屋辺り)に住む女に通う男へ、
この女が詠んだ歌が記され、

こもり江に思ふ心をいかでかは
   舟さす棹のさして知るべき
田舎人のことにては、よしやあしや

と、続きます。
このことを踏まえて考察すると
遠州公はこの「伊勢物語」の33段を倣って
自分の歌を下人の歌として記したと想像することができるのではないでしょうか。