きれいさびの日々

2022-2-18 UP

富士の山にむかう途中、江月和尚からいただいた
一偈の一、二句目が脳裏に浮かぶ。

  東行斯日巳初冬
  為雪吟鞭指士峯
とあり、つくづくと山を見てみれば、
真白い雲が群れて雪の色を奪おうとも、
また遮ろうとても、その雪の白さには
かなわない。
すそ野をめぐる高嶺の煙は、
風にまかせてたなびいている。
何か言おうと思うけれど、
言葉は雪のように消えてしまい、
ただただ茫然と佇むばかり。

つげやらん ことの葉もなし 
年経ても まだみぬふじの 雪のあけぼの

と詠めば、傍らの人

 ふじいづこ 雪にゆづりて やまもなし

と続ける
この山に心をよせて時がたち、
吉原の里に留まり一泊。