「東海道旅日記」 筆捨山
2020-9-11 UP
遠州公が
「四方に山を戴 渓深く水の流れ 目慣ぬ様の所也」
と称した、鈴鹿峠の坂の下に広がる景色。
ここには奇岩怪石の多い岩根山があります。
室町時代の絵師、狩野元信がこの山を
描こうとしたところ、山の姿の変化が激しくて描けず、
ついには諦めて筆を捨てたという逸話から
「筆捨山」という名前が付けられました。
東海道を往来する人々は旅の途中で
情趣あふれるこの地の風景を楽しんだといいます。
遠州公が訪れたのは現在の暦にすれば十月下旬。
山々には唐紅をかざしたかのような見事な
紅葉であったことがわかります。