4月 14日(金)茶の湯に見られる文様「ふね」
2017-4-14 UP
ご機嫌よろしゅうございます。
先週は「隅田川」をご紹介しました。「隅田川」の形物香合には
約束として、屋形船が描かれていました。
今日は「ふね」にちなんだお話しをしたいと思います。
お正月二日の夜には、枕の下に「宝船」の絵を置いて寝、
吉夢を願います。宝船には宝や俵が積まれ、七福神が乗り込み
前からよんでも後ろからよんでも同じ音になる回文歌が添えられます。
なかきよの とおのねふりの みなめさめ
なみのりふねの おとのよきかな
(長き夜の遠の睡りの皆目醒め
波乗り船の音の良きかな)
その昔、茶は船によって海を渡り日本に伝わり
その道具の多くも舶載され、名物として伝わることとなりました。
また「御所丸茶碗」は、文禄・慶長の役のとき
島津義弘が、古田織部の切形をもとに朝鮮で焼かせた茶碗
交易の御用船である「御所丸船」に乗せて運ばせて、
秀吉に献上したことに由来する名前と言われています。
また航行する船に水脈を知らせるために立てられる杭を
「澪標(みおつくし)」と呼び、胴の景色をその「澪標」に
見立てた織部焼の茶入には遠州公が「源氏物語」「澪標」の帖の
身をつくし恋ふるしるしにここまでも
めぎりあひけるえには深しな
の歌から命銘しています。また、遠州公が景徳鎮窯に注文したとされる
「祥瑞 洲浜茶碗」には漢詩が口辺を巡り、正面に船が描かれています。