茶の湯に見られる文様「蛍」
2017-7-21 UP
ご機嫌よろしゅうございます。
この時期羽化をはじめる蛍が夜の闇に淡い光をうつす頃
夏の夕べの美しい水と蛍の光はとても幻想的です。
蛍狩りはこの時期の季語でもありますが、
昔は身近だった風景も今では限られた場所で観られる特別な
ものとなってしまいました。
さて、遠州公の所持していた茶入に「蛍」の銘を
もつものがあります。
瀬戸春慶に分けられるこの茶入には、遠州公の書状が添い
織部の同門であった上田宗箇に宛てられたもので、この茶入は
ことのほか出来が良く、五百貫ほどの値打ちがあり、後々は
千貫にもなるのであるといった内容です。
遠州公は浅井家家臣となり、広島に居した宗箇には色々と心を
配っており、その他多くの書状が残っています。
瓢箪の形をしていますが、上部は小さめで愛らしい印象を
受けます。土見せを大きく残し、黒釉がたっぷりかかっています。
この釉薬からの連想か、挽家に遠州筆で金粉字形「蛍」と
記されています。
また、蛍と茶の湯にちなんだ落語を来月7月にご紹介する予定です。
どうぞお楽しみに