「初昔」
2013-10-6 UP
皆様、ご機嫌よろしゅうございます。
本日は、その年の新茶がふるまわれる炉開きが近づいてきましたので、お抹茶のお話をひとつ。
現代では、各宗匠のお好みのお抹茶に、銘が付いていることは当たり前となっておりますが、その銘を最初に付けた人物が遠州であることをご存知でしょうか。
「初昔」
これがお抹茶の最初の銘となりました。
なぜ、初昔というのか。
それは、お抹茶の製法を、古田織部以前に戻したことから、と言われています。
では織部がどのような製法だったのか、といますと、彼は茶の葉を茹でていたのです。
現在もそうですが、織部以前は、茶を茹でないで、蒸していました。
それは、蒸せばお茶は白っぽくなりますが、香りがとても良くなるからです。
しかし織部は香りよりも、「色」を重視しました。
そのため、青々しい色の出る、「お茶を蒸す」という方法で、お抹茶を(正確に言えば「碾茶(てんちゃ)」)を製法したのです。
しかしさらに、遠州は織部の弟子でありましたが、この製法を昔に戻しました。
そのため、「最初の昔にもどした」ことから、「初昔」という名が生まれたと言われています。
ちなみに、「~の白」という名も、この「青茶」に対して「白茶」である、ということから付けられた名前です。
このようなことからも、今日でもこの遠州の創意が受け継がれていることを見ることができます。