12月 12日 (月) 猿の歌
2016-12-12 UP
12月 12日 (月) 猿の歌
ご機嫌よろしゅうございます。
ついこの間新しい年を迎えたと思ったら、
もうあっという間に一年が過ぎようとしてる
時の流れの早さを感じずにはいられません。
さて、今日は今年の干支である「猿」が詠まれた
「和漢朗詠集」をご紹介します。
和漢朗詠集巻下 猿
胡鴈一聲 胡雁(こがん)一声
秋破商客之夢 秋、商客の夢を破る
巴猿三叫 巴猿(はえん)三叫
曉霑行人之裳 暁、行人の裳を霑す
北方から訪れた雁の鳴き声は、
秋、旅の行商人の夢を覚ます
暁の巴峡で、猿が哀しげに三度叫ぶ声は
舟行の旅人の袂をしぼらせる。
和漢朗詠集にはこの詩を含め猿の部に
八首がありますが、いずれも猿の声に
寂寥・望郷の念を感じるものが多く、
「巴東の三峡猿の鳴くこと悲し
猿鳴くこと三声にして涙衣をうるおす」
とあることから
当時、暁方の峡谷で猿が悲しげに三声鳴く
様子が旅情をかき立てる
というのが類型化していたようです。
和漢朗詠集については、松岡正剛氏の千夜千冊
でも紹介されていますので、そちらもご覧ください。