遠州公の選ぶ和歌

2014-12-18 UP

12月 18日 遠州公の選ぶ和歌

ご機嫌よろしゅうございます。

茶の湯の盛んになった時代から、
床の間の一番の掛物といえば、墨跡。
そして唐物などであったことは既にお話ししました。

また、武野紹鴎が「天の原」の和歌の歌意をもって
墨跡に準ずるとして、床の間にかけたことも
何度かふれました。

そのような流れの中で、
茶の湯では暗黙のうちに、和歌の中でも
恋歌は、茶の精神にそぐわないということから
用いられませんでした。

しかし、遠州公はこのタブーを破り、
恋歌を多くの茶道具に用いています。
これは、道具への恋にも似た密かな想いを
歌銘に託しているともとれます。

本来「和歌」は、男女の交流の貴重な手段でした。
遠州公は、その和歌の本質を生かし、
日本らしい奥ゆかしさ・日本の美しさを
茶の湯に取り込んでいこうとしたのではないでしょうか。