2月 16日 (月)西行と桜
2015-2-16 UP
2月 16日 (月)西行と桜
ねがはくは花のもとにて春死なむ
そのきさらぎの望月の頃
ご機嫌よろしゅうございます。
この歌は平安の歌人西行法師の詠んだ歌です。
西行は裕福な武士の家系に生まれます。
院直属の名誉ある精鋭部隊「北面の武士」に選ばれ
武勇に秀で歌人としての才もあった西行の名は、
広く知られていました。
しかし、西行は22歳の若さで、全てを捨てて出家
してしまいます。
この歌は60才代中ごろの作といわれています。
2月15日はお釈迦様の入滅の日で
平安時代から涅槃会など、
お釈迦様の遺徳を偲ぶ習慣がありました。
このお釈迦様が涅槃に入ったとされる
「きさらぎの望月」のころに
西行は「死なむ」と詠んでいます。
悟りの世界に憧れ、全てを捨て出家した後も、
現世への執着を捨てきれずもがきつつ
気がつくと花や月に心を寄せ歌を詠んでいた西行。
実際に亡くなったのは
七十三歳で1190年の旧暦2月16日。
(新暦でいうと3月24日頃)
「きさらぎの望月」の翌日。
まさしく「そのきさらぎの望月の頃」に
亡くなったのでした。
さてその死に際して、桜は咲いていたでしょうか?
今となっては定かではありませんが
江戸時代に入って西行を慕う僧がその墓を発見し、
西行が愛した桜の木を、墓を囲むように千本も植えて、
心からの弔いとしたそうで、
現在では千本以上もの桜が墓を抱く山を覆っています。