醒酔笑

2017-5-19 UP

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は醒睡笑のお話をご紹介します。

「茶は眠りを覚ます釣り針である」という。
また「茶は食べたものを消化させる」ともいう。

吾門にめさまし草のあるなへに
こひしき人は夢にだに見ず
自分の家には「目さまし草」があるから眠れず、
恋しい人を夢にさえ見ない。などと言って、
人々がほめそやしながら茶を飲んでいた。
その末席に百姓がいて、「それなら、私たち百姓は、
一生茶を断ち申しましょう。一日中頑張っても、
その夜じっくり眠ればその心労も忘れます。
また、食べるのに事欠くことさへあるのに、
すぐ消化してしまうのではなんの役にたつのでしょう。
ああ いやな茶ですよ」と頭を横にふった。

そこで「憂喜依人(好き嫌いも人の境遇による)」という題で、
ますらをが小田かえすとて待雨を
大宮人やはなにといはん
農夫が田を鋤きかえして心配して待つ雨を、
大宮人は花が散るので嫌うだろう。と詠んだ。

何となく人にことはをかけ茶わん
をしぬぐひつつ茶をものませよ

花をのみまつらん人に山さとの
雪間の草の春をみせばや
千利休は「侘び」の本意として、この歌を常に吟じ、
心にかける友に対しては、いつも心してお忘れにならなかった。

契りありやしらぬ深山のふしくぬ木
友となりぬる閨のうづみ火
これは牡丹花肖柏の歌で、古田織部は冬の夜の物寂しいときに
この歌を好んで吟じられた。