向栄会 表具師 表具久生
2018-8-23 UP
ご機嫌よろしゅうございます。今日は掛物などの表装をする
表具久生氏は慶応大学工学部中退後、父である表具師加麗堂三代目、
表具弥三次氏に師事。
表具家は、加賀百万石の十三代目・前田斎泰公から名字帯刀を許され、
「表具」を名乗るようになります。
以来、古書画、古屏風の修理を能くする伝統を受け継いできました。
表具師の仕事は、掛物をつくるうえでなくてはならない仕事ですが、
資料に残るのはその掛物の中身や、名物裂といった表装された中身
表具という言葉や表具師の名前自体、
記録上登場することはなかなかありません。
しかしながら、掛物の中身を引き立てる裂の組み合わせや、配色など
深い知識と高い技術を持つ表具師がいなければ、
掛物はその本来の価値を存分に発揮することはできず、
その印象は色あせてしまいます。
久生氏の父・弥三次氏は、遠州流茶道の点初などお祝いの際に決まって
「高砂」などの謡を披露してくださいました。これも掛物に謡の内容がよく使われることから始めたと聞きました。
床の間にかけられる掛物には、表立っては語られない表具師の
高い心意気が詰まった道具なのです。