生来の研究心、好奇心が生んだ様々な工夫、サイフォンの原理を使った手水鉢や水琴窟の原点といわれる洞水門など驚くべき博識と近代的な技法は、まさに日本のレオナルド・ダ・ヴィンチと謳われるにふさわしい。
水 琴 窟
多才な遠州の創案したこの洞水門は、今日水琴窟と呼ばれるものの原型と言われていますが、その作り方は小堀家代々の秘伝として受け継がれてきました。
遠州がわずか18才の折り、伏見屋敷内にこの洞水門を工夫し、師匠の古田織部を招いたところ「此年迄かようの水門を見ず。遠州は名人に成るべき人也」と大いに感心されたと伝わっています。 蹲踞を使う度にどこからともなく美しい音色が響くこの洞水門は、地中に大振りの甕を埋め、落下する水が甕の底に溜まった水に当たり内部で反響する仕掛けです。
遠州の後も更に工夫が重ねられ、甕の胴に通した管から排水し、常に水位を一定にし、客人が多い場合でも良い音響を保てるようになりました。のちに日本を代表する建築・造園の作事奉行として力を発揮する遠州の才覚は若き日々より際立ったものでした。