茶の湯日記

不傳庵 茶の湯日記 

 一年をふり返って

遠州茶道宗家十三世家元 小堀 宗実 


 いよいよ年末も近く、茶の湯では歳暮の茶事、除夜の釜とよばれる大晦日の茶会、そして、大掃除とともに、新年を迎える準備も同時進行で行われていく。茶会で使用される伝来の主道具を収める蔵の掃除、稽古道具の片付け、畳替え、障子の張り替え、その他傷んだものの修理。庭の落ち葉拾いとともに、竹垣を青竹に、露地には松葉を敷く。考えてみると本当に「しなくてはいけないこと」がずいぶんとある。このあたりの風景は、今年三月にテレビ放映されたドキュメンタリーや、映画『父は家元』などでも紹介されているので、おわかりの方もいらっしゃるかと思うけれど、やはり毎年変わらずするということは、なかなかたいへんである。

 さて本年最後となるこの日記で、一つ書きとめておきたいことがあった。それはこの10月に滋賀県長浜市で行われた全国大会のことである。ご存知のとおり、滋賀県は遠州公生誕地であり、とくに小堀町、旧浅井町は、小堀家とはたいへん深い縁で結ばれている。その地において、このたび初めて全国大会が開催された。滋賀県内には現在、長浜市部、浅井支部、滋賀湖風支部、淡海支部の四支部が存在しているが、今回この四支部が、手を携えての共同担当であった。

 実のところ、遠州公生誕地といいながら、県内には20数年前まで遠州流の支部はなく、したがって門人もほとんどいなかった。

 しかし平成八年、遠州公350年大遠諱の際に、先代や私など、宗家関係者が当地を訪問し、それが一つのきっかけとなり、 遠州流茶道の教導への機運が高まり、やがて前述の支部が創設されるに至ったのである。私が小堀町を正式に訪問してちょうど20年となった今年に大会が行われたのは、たいへん感慨深い。そして結果、最近開催された全国大会としては、もっとも参加人数が多い大会となった。全国の遠州流門の会員にとっても、ある意味、遠州流の故郷ともよべるこの地は、ぜひ訪問したいという気持ちが強い場所であったのだろう。そういう意味合いも重なり、参会客の気持ちと、それを受ける四支部の支部員の心が、見事に調和した大会であった。個々の茶席においても、工夫があり趣向にも個性があった。もちろん、全体の流れや構成には、経験不足や未熟な点もあったが、それは今後の成長の糧としてしっかり省みて、未来につなげてほしいと思うばかりである。

 書き出しに述べたが、茶の湯の道は、常に連続、絶えることのないくり返しである。同じことをごくふつうに行うのは、日々の努力の積み重ねである。大会を振り返りつつ、このことの大切さを感じた年末であった。今年一年のみなさまのご協力に感謝申し上げ、年末の筆を置くこととしたい。

 この〆切を過ぎて10月29日音羽護国寺において松平不昧公200年遠忌記念茶会が行われた。詳細は次号の「宗家活動報告」に掲載されることと思うが、会場の護国寺を始め、とくにご一緒にこの大行事をさせていただいた、武者小路千家・千宗屋宗匠に感謝申し上げる。